長く愛されるには訳がある

歳を重ねるごとに体の水分が減ってきている。とにかく乾燥する。心身共に潤いが大事だということが身に沁みる今日この頃。夏の終わりから、台所洗剤と空気の乾燥で手荒れがひどくなってしまった。医療費がかかるから薬を塗るのももう嫌だし、洗剤を詰め替えるのも面倒だなということで、シャンプーやボディソープ、台所洗剤などなるべく固形石鹸に変えられるものは無添加の固形石鹸にシフトチェンジしていくことにした。

 

今は「香害」といって柔軟剤や洗剤の匂いで具合が悪くなったりアレルギーが出る人もいるそうで、私はそこまでではないにしても、柔軟剤の匂いは気持ち悪く感じるものが多いので洗剤も無添加無香料のものを使っている。それでも結構な香が漂っているので、香害アレルギーの人は本当に大変だろうな、と不憫でならない。

 

固形石鹸はあまり需要がないせいか、売り場の下の隅の方に追いやられていること多々。顔・体用の固形石鹸は意外にもコンビニエンスストアでも売っているけれど、台所用石鹸は甲府でもなかなか探しているものが見つけられずにいた。しかし、さすがの岡島百貨店!岡島のキッチン売り場にてようやく発見。

 

布巾にも食器にも使えるありがたきふきんせっけん

 

コストパフォーマンスがいいのかはわからないけれど、袋から出して置くだけなので、とにかく楽で見栄えもスッキリの優れもの。石鹸に慣れると二度と詰め替え用洗剤を買おうとは思わない。

 

この通り、甲府の中心街でキッチン用品を買うとなると、品揃えが充実していて商品の信頼も置ける岡島百貨店を愛用している。郊外の大型ショッピングモールにもキッチン用品専門店があるけれど、そちらは品数が多すぎて何がなんだか最後にはどうでもよくなって何も買わずに出てきてしまう始末だったので、ほどほどに商品が洗練されている岡島が私にはちょうど良い。

 

とはいえ、キッチン用品の選択肢があまりにも少ないよなぁと悩んでいたところ、そうだリビングセンターマエダがあるじゃないかと今更ながらに気づいたのでした。

 

甲府市中心街、「エル銀座通り商店街」にあるリビングセンターマエダ

 

リビングセンターマエダは聞けば創業140年くらいとのことで、最初は木材屋、それから電気冷蔵庫がない時代には氷屋さん、車が一般に普及する前には運送屋をというように時代に沿って変遷していき、その後、現在の雑貨屋の形に落ち着いたとのことです。小売りになっておそらく110年ほど。

 

リビングセンターマエダにかけてあった古い写真に目を奪われる。かつて甲府を走っていた路面電車、通称「ボロ電」。おそらく開通した頃、1930年ごろの写真じゃないかな、と。この街に生き続ける人だけでなく店もまたこの街の歴史そのものなのだなと改めて思う。

 

お店にはいつもおばあちゃんとそのお孫さんであるマコちゃんがいて、なんとも言えない独特の空気が守られている。マコちゃんは某美大でバリバリ彫刻を彫っていたとは想像もつかないような、おっとりとした少女漫画のキャラクターのような商店街のマドンナ。

 

リビングセンターマエダの看板娘マコちゃん

 

そののんびりとした口調からは一見想像もつかないけれど、「まちゼミ」を企画して、商店街を元気付けようと内側から尽力している街の希望、街の遺産でもある(※まちゼミ:得する街のゼミナール略して〝まちゼミ〟 甲府市中⼼商店街のお店の店主が講師となり、プロならではの専⾨的な知識や情報、コツなどを無料で教える少⼈数制のミニ講座です。お店やひとの存在・特徴を知っていただくと共に、お店(店主やスタッフ)とお客様のコミュニケーションの場から、信頼関係を築くことを目的とするコミュニケーション事業です。「甲府まちゼミ」『まちづくり甲府』websiteより引用)。

 

そんなリビングセンターマエダで探していた固形石鹸を見つけ、しかも安かったので嬉しくて嬉しくて久しぶりにコラムが書きたくなったのでした。

 

リビングセンターマエダで見つけたフキンソープ

 

所狭しととにかくあらゆる日用品が無駄なく、しかし余裕を持って並べられている。

 

ここには店主推定数万種類の品物が置かれているそう。

 

しかも、なぜこんなところに?!と目を疑うようなデンマーク製のステンレスポットや卓上セット、デッドストックの昭和レトロ食器に調理器具、新製品に定番品から、一体いつからこの店にいるんだい?と思わず話しかけたくなる懐かしいパッケージデザインの品々まで。

 

リビングセンターマエダ。昭和モダンデザイン、デッドストックコーナー。

 

ああ、面白い。

 

亀の子束子も様々なサイズとバリエーションが並び、爪楊枝と串だけでも何種類もある。何時間でもこの店の商品を眺めていられそう。そしてとびきりの掘り出し物に出逢える、そんな楽しいお店。長く愛されるには訳がある。

 

リビングセンターマエダ。


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4歳

上の子がこの春で4歳になる。

3歳までとは違う、うまく言えないけれど違うフェーズに入ってしまったんだと少し寂しさが募る。

 

山梨に来てからというもの、夫はいつも仕事でいなくて、気がつけば全部1人でやっていた。

土日にいないのは当たり前なので、子供達を連れて散歩していると「なんだか今日はやけにファミリーが多いなぁ」と思うと土日だったりして、世の中は休日だということに気がついたりする。

 

身寄りもいない、友達もいない、家族もいない中で知らない土地で暮らしていくということ。

体がしんどくてもすぐに頼れるところもない。

助けてもらうにも「遠慮」が生じる。

これはどんなに頑張っても消えない。

 

自分でいろんな活動をしているので、友達も応援してくれる人もたくさんになった。

街に出れば誰かに会えて、話すだけでも励まされる。

今、私を助けてくれるのは他人と子供達。

まるで大人のような発言で私を励ましてくれる4歳の息子。

無邪気な笑顔で癒してくれる2歳の息子。

 

でも、肝心のパートナーはいつも不在。

助けてくれるのはいつも他人。

 

家族とは一体なんなんだろうかと思う。

 

周りの友達と話してみても、女性が「夫婦ってなんだろう。家族ってなんだろう。」と深く深く考え続けているのに対して、男性はほとんど意識がないように感じる。

 

おそらく「今、自分が頑張ることが家族のためだから。いつかわかってくれる。」と思っているのだろう。

 

でもそのいつかがきた時には、あなたの大切なパートナーは倒れて死んでいるかもしれない。

子供達を連れて新しい人生を楽しんでいるかもしれない。

 

私たち30代が育ってきた社会は、まだまだ女性の社会進出が今ほど盛んではなかった。

専業主婦の母親に育てられ、どんなに不出来でうざかったとしても、子供のために、家のために尽くすのが母親であるべきだと考える男性が、今、父親の立場になって、どんなに頭で女性を応援しようと思っていても体に染み付いた思想はそう簡単に変えられることではない。ましてや働き盛り、若手とベテランに挟まれた肩身の狭い30代、「今頑張らなければ」という焦りが余計に邪魔をする。まさに揺らぎの世代だと思う。男性もかわいそうだ。

 

焦ってもいい仕事などできない。

休みも休みとして楽しまないといいアイデアなど生まれない。

これは私が独身時代に仕事のできる人たちと仕事をしてみて学んだこと。

 

こんなに働かなければならない社会とはなんだろうと疑問でしかない。

 

私の父は私たち子供が生まれてからは、お風呂と晩御飯のために一度仕事を中断して帰宅してくれていた。それらが済むとまた仕事に戻る。自分の仕事の都合で全国転勤に付き合わせている妻と家族への、せめてものお返しで、「偉いね、お父さんは。」と言うと、「自分の家族なんだから当たり前だろう。」とただ一言だけ返ってきた。「職場で嫌な顔されなかった?肩身狭くなかったの?」と聞くと、「家族も守れない奴がろくな仕事なんかできるわけない。そんなの当たり前だろう。止められたらぶん殴ってやる。」とこれまた男らしい答えが返ってきた。しかもうちの母親は仕事などしていない、専業主婦だ。それでも支えるのは当たり前だと考えていた父。

 

そんな風に考えて行動のできる父親が、今、この社会でどれだけいるのだろう。

 

 

最近は疲れることが多かったので、いつもの芝生の太白桜の下にシートをひいて、息子と寝転がって日光浴をしていた。

 

寝っ転がって見上げるとすぐ目の前に太白桜の枝葉が広がる。

 

桜が満開の季節も綺麗だけれど、散りゆく間際、風に散る桜の花びらが雪のように芝生に積もって本当に綺麗だ。

 

毎日見ないと、毎日行かないと気づかない景色。

そんな些細な景色をきちんと見つめている人ってどれくらいいるんだろう。

 

甲府ではいろんなイベントが毎週のようにあって、見ているだけで疲れてしまう。

こんなに素敵な日常があるのに、これ以上何を望むんだろうか。

足元の日常も見えていないのに、何を伝えたいんだろうか。


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紙芝居と動物園と大神さん

甲府に住んでいると、どこからどこに向かっていても山が見える。

天候や季節によって山の表情が変わるから、いつ見ても面白い。

昔は山の写真を見ても、こんなの撮って何が楽しいんだろうと思っていたけれど、なるほど一度虜になると毎日でも撮りたくなる気持ちが良くわかるくらい、山というものは魅力的な生き物だ。

 

甲府は盆地なので、山から見た景色は面白い。

普段自分が住んでいる街が、山に包まれている。

 

愛宕山からの景色。

 

そしていつも天から降ってきたかのような光が街にはさしている。

神々しくて、いろんなこまごましたことがくだらなく思えてくるくらい。

 

先日は年に一度の楽しみ、節分のお祭り「大神さん」があった。

お祭りは夕方からなので、お祭りが始まるまで友達と動物園に行ってきた。

 

祭りの会場となる甲府市中心街から動物園までは3歳児でも歩ける距離。

だけど、今回はバスで移動。

 

甲府の動物園は何度行っても滋味深くて面白い。

日本で4番目に古い動物園は来年2020年で100周年を迎える。

資金難や動物の環境面から問題もあるけれど、変わらずにこのままの雰囲気であってほしい。

最近はテカテカのオシャレな場所が増えすぎて辟易としてしまうけれど、本当にホッとする数少ない場所。

 

手作りのごみ箱、ゴミを捨てるのも忍びなく感じるほどの愛嬌。

 

 

動物園に入る手前の公園には紙芝居師のおっちゃんがいる。

 

かなり年季の入った紙芝居。

 

前にも何度か見かけたけれど、人数が集まらないと紙芝居を読んでくれない。

今回ようやく紙芝居を読んでる姿を拝見できた。

 

紙芝居に群がるこども達、それを見守る大人達。

 

紙芝居は先代から引き継いだ古いもの。

内容は、なんと即興。

絵に合わせて、時事ネタや流行のお笑いネタを織り交ぜながら怒涛に展開する。

紙芝居が終わると水あめタイム。

 

水あめタイムが終わるとまた紙芝居が始まり、子供達が水あめを舐めながら紙芝居のおじさんの話に聞き入る姿が見れる。

 

全国のいろんな番組に取り上げられているよう。

 

紙芝居の洗礼を浴びて、いざ動物園へ。

 

ゾウのテルのダンスを拝んだら、子供達はどんどん駆けていく。

奥の遊園地が目的だからだ。

 

それでも所々動物達を楽しんで。
全ての動物がとっても近い。
レッサーパンダ。

 

ふれあいコーナーではモルモットをお膝に乗せて撫でることができる。
いつも荒っぽい子供達も、この時ばかりは優しい手つきで撫でるから面白い。

 

ヤマアラシもこんな近距離で見れてしまう。
手を伸ばせば触れるような距離。

 

2019年バージョンの顔ハメも増えていて、子供はなぜかこれがあると顔をはめようとする。

 

一番奥の遊園地の入り口にはヒーローが立っている。ウルトラマン好きな息子には違いなどなく、頼んでもないのにシュワッチポーズをくれる。

 

今回は「シルバー仮面」と「突撃!ヒューマン!!」が並んでいた。
「突撃!ヒューマン!!」って、「仮面ライダー」に対抗する番組として企画されたものだそうで、よくよく見ると放映期間がとてつもなく短い。

 

奥の遊園地で1人2つまでお金を入れて乗る乗り物を楽しんだら、エネルギーがなくならないうちに祭りへ移動。

 

動物園の池からは雪のかぶった富士山も見える。

 

いつも人通りの少ない中心街もこの日は本当にすごい人、人、人。

こんな角をつけた子供や大人が街にたくさん。

 

次男が食べているのは、前日にベジカフェのfluuntさんで開催された「どんど焼用だんごづくり」で作られただんご。当日、fluuntと桜座の間に作られた祠の火で炙って食べます。

 

「繭の森プロジェクト」という団体が企画運営していて、団子作りだけでなく、鬼のツノ絵付WSや書き初めも開催されて、お祭り当日は長蛇の列ができるほどの盛況ぶり。

 

お祭りでは、何人もの鬼が練り歩いていて、太鼓の音が近づいてくるのが鬼の合図。

 

そこら中で子供が抱っこされて号泣する声、それを楽しむ大人達の笑い声が聞こえてきて、なんとも幸せな夜でした。

 

次男も例に漏れず大号泣。

長男は鬼を見つけるや逃げて隠れて、遠くから「絶対にやだ!」と泣き叫んでいた。

 

でも、この鬼に抱っこされるど強くて丈夫な子になるそうです。

 

豆をまくんじゃなくて、鬼に抱っこされるお祭り。

変わってるよなぁ。面白いなぁ。

いつか子供達が大人になって別の地域の節分のお祭りを見たら、物足りなくなるんだろうなぁ。

また来年を楽しみに。


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ダンさんのおしるこ

あっという間に一年が過ぎてまた大神さんの季節が巡ってきました。

去年は1回しかコラムを書けませんでした。

 

日々のことをすぐに忘れてしまうのでメモ代わりにInstagramに写真絵日記のような形式で日々のことをメモしていました。結局あとからコラムに起こす体力がなかったので、今年はInstagramを辞めて、このコラムに日々のことを綴っていきたいなあと思っています。

 

産後は特に、携帯を見てると目もシバシバして疲れやすくなったし、あんまり携帯の画面を見ずに過ごしたいなあと年を重ねるごとにその思いが強くなります。

 

もともとこのコラムは甲府での日々の暮らしがどんなものなのか、それぞれの目線でのリアルな日常を書いてほしいというもので、引き受けたのでした。子育て支援制度とか、設備とか、確かに大切だけど、子育てしていて一番嬉しいこと、必要なことは、誰かの思いやりや優しさなんだと思うことばかりで、甲府市の移住担当者の方が同じような思いを持っていてくださっていることは、とてもありがたく嬉しいことでした。

 

便利な情報や観光情報は他にもたくさん書かれているブログなどあるのでそちらにお任せして、私の「甲府の暮らし方」を綴っていきたいと思います。

 

去年は愛すべき相棒と共に、甲府市中心街を舞台に展覧会やアートプロジェクトを企画運営する「歩帆舎(ほーほーしゃ)」を立ち上げました。自分たちの好きなことを少しずつ広められたらいいなと思って活動を始めたのに、びっくりするほどの反響があり、活動の様子はテレビや新聞など多くのメディアでも取り上げていただいたり、特集していただきました。

 

仕事がしたくて始めたのでもなく、稼ぎがほしくて始めたのでもなく、もっと街にたくさんの人が出歩くようになって、街に出ればだれかと遊べたらわたしも子どもも楽チンだし楽しいなぁという思いからでした。子どもがいるとオンタイムで動くのは面倒だったり大変だったりするので、いかに約束を取り付けずに、しかも車に乗らずに歩いていける距離で楽しむかというズボラな思考。子どもといたらわざわざ車に乗って観光地に行かなくとも、歩いてるだけでワンダーランドですから。特別な場所は必要なくて、友達さえいればそれでいいんです。が、甲府の街中に出ても友達がいない。歩く人がいない。本当びっくりしました。これが車社会か、と。山梨の人は歩いて5分のコンビニにすら車に乗って行くと聞きます。夫も山梨にきてからというもの、全然歩かなくなり車移動ばかり。下半身の筋肉が退化しないのか気になります。

 

子どもたちには健脚でいてほしいし、車に乗るのが当たり前になってほしくない。

と運転が苦手な私は切に思います。

 

 

長男は3歳、次男はもうすぐ2歳になります。

長男は満3歳児クラスというのに入り、幼稚園生活を満喫中。

次男はまだ園には入っていません。

自分の仕事は、あくまでも子どもたちが軸にいて、子育てや家事が些末にならないようにをモットーにやっています。

 

昨日は打ち合わせがあり、次男を託児しました。

やっと信頼できる託児先を見つけることができて、安心して託児できるようになりました。

とはいえ、託児にもお金がかかります。経済的な余裕があるわけではないので最小限の利用です。

久しぶりに預けに行ったら、先生たちが「久しぶりだね〜!よく来てくれたね〜!元気だった?」と次男をぎゅーっと抱きしめて迎え入れてくれました。

 

その光景を見て、「ここに預けることができてよかった」と心の底から安心して、その後を過ごすことができました。

 

打ち合わせも終わり、いざ1人の時間になると、あれもしたい、これもしたい、でも子どもがいないからできることをしなきゃ!とそわそわして若干パニックになります。お昼ご飯を食べる時間すら勿体無いと思いながらも、ちゃんと食べようと大好きな喫茶店に行ったら、「あれ、

1人?!子どもはどうしたの?」と驚かれ、事情を話したら「じゃあ今日は貴重な時間なのね」とお店の奥様。ちょうどお孫さんが産まれたというのもあり、子育ての話や平成の世が終わる話をして、他のお客さんも交えてゆっくりおしゃべりしたり。なんてことのないそこのランチのトマトスパゲッティが好きなのですが、ゆっくり味わって食べたらやっぱり美味しくて、食後のマンデリンも至福の一杯。手紙を書いたり、仕事のことをしたり、雑誌をゆっくり読んだり。そろそろ帰らねばと思ったら、「まだ時間ある?」とマスター。「甘いものは嫌いじゃないですか?」と。「大好きです」と答えたら、「おしるこ食べて行きませんか。」と。

 

お言葉に甘えておしるこをいただきました。

実はここのおしるこ、前に常連のマダム達がオーダーして食べているのを見て密かに憧れていたのです。いつか、もうちょっと常連さんになったら寒い冬に頼んでみたい、とぼんやり夢を抱いていたので、夢のようでした。優しい味のおしるこには小皿に乗った塩昆布付き。お腹はタプタプになったけれど、夢のように幸せな時間でした。

 

あんこが大好きな子どもたちにも食べさせてあげたかったなぁと思いつつ、自分だけの秘密にしようとニヤニヤして店を出て。幼稚園から帰ってきた長男と一緒に託児先まで自転車で次男を迎えに行く。夕暮れ時で暗くて寒いし、自転車の前と後ろに2人を乗せてずっしり重たいけど、みんなで歌を歌いながら甲府の街を通り抜けて帰る家路は、心が軽やか。

 

うまく息抜きしながら今年を乗り切ろう。


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甲府の節分、大神さんがやってくる

もうすぐ節分。

甲府の節分、私にはとても楽しみな1日。

甲府の三大祭りのひとつ、「大神(だいじん)さん」があるからです。

 

(甲府のお祭りについては甲府市のHPにまとめが!https://www.city.kofu.yamanashi.jp/kids/ima/bunka/matsuri.html

 

大神さん、正式名称「大神宮祭」は甲府盆地に春を告げる祭りで、私は2年前に六曜館に珈琲を飲みにいったときに教えていただきました。

 

「今日はお祭りに行くの?」と聞かれ、「なんのお祭りですか??」とたずねると、「今日は甲府の大きなお祭り、大神さんっていうのがあるのよ。中心街には出店がたくさん並んで鬼もいたり、楽しいから行ってみなさいよ。」とのこと。

 

そのままベビーカーを押して中心街に出て、たくさんの人で溢れかえる街を楽しんだのでした。

 

いつもは閑散としている街も、このお祭りのときは大賑わい。

 

鬼の角をつけたこどもや大人がウロウロ。

なんだか珍しいお菓子たちも和菓子屋さんの前で売り出していました。

 

去年は里帰り中でお祭りに行けなかったので、今年の祭りが待ち遠しく、

 

先日、中心街にあるcafe&gallery 富雪さんで、繭玉飾りWSと、鬼の角の絵付けWSがあったので遊びにいってきました。

 

毎年恒例の富雪ギャラリーでのこのマルシェとWS。
樹脂粘土で繭玉飾り作り。

 

色とりどりの繭玉飾り。
すでに中心街の通りには繭玉飾りが飾られ、祭りにむけてわくわくそわそわ。

 

家族で鬼の角の絵付けWS。
左から私、長男、夫 作。
当日はこれを頭につけて祭りに出かけます。

 

同じ日には『路地裏の小さなマルシェ』も開催されていて家族連れもたくさん。店主のりえこさんが作ったお汁粉は、洋酒とシナモンが効いていて疲れた体に染み渡る。。富雪さんと言えば夏のかき氷もお手製シロップが最高に美味しのですが、ご飯やドリンクもちょっとひねりがあってどれも楽しく美味しいのです。のんびり楽しめました。

 

帰りに、次男の一歳のお祝い用の背負い餅(一升餅)を澤田屋さん本店に受け取りに行き、そのまま、ガラガラさんも買って帰りました。

 

名入りの一升餅。
長男のときは、大野屋さん、次男のは澤田屋さんで頼みました。

 

がらがらさんは、甲府の伝統的な節分菓子。
甘い素朴な味の煎餅を割って食べます。
割ると中にはおもちゃが!
大人の顔よりでかい三角!ワクワク

 

その土地にしかない文化や食。

こどもたちには体験しておいてほしい。

 

去年は遊亀動物公園近くの金精軒本店で、今年は澤田屋さんで購入したので、中身のおもちゃの違いも楽しみ。

 

去年買った、金精軒本店のがらがらさん。

 

がらがらさんのほかに、「切山椒」というお菓子も甲府特有の節分菓子だそうです。

 

2年前の節分の時に買った切山椒。

 

また寒波が来るようですが、大神さんの日は、少しだけでも春の兆しに触れられますよう。

 


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内と外

例年より一段と寒い日々が続く今年の冬。

こんな寒い日は熱々の風呂に入るのが一番好きな時間。

とは言え、こどもたちと入るので熱々にできないのが悲しいのですが、

「風呂はいいねぇ、あったかいねぇ」といつも息子たちに言ってしまいます。

 

甲府市中心街にある元銭湯 竹の湯での展覧会「Flowing out」(会期:2017年9月30日、10月1日)には、2日間で315人もの来場者がありました。

 

(展覧会については、「山梨のいまを伝えるウェブマガジンMUJINKAI」、神田裕子さんによる記事『アートで溢れた元銭湯での2日間』をぜひご一読ください。)

 

山梨日日新聞の五味記者の記事を見て来てくださった方、前日のローカルテレビ「てててTV」の生中継をみて来てくださった方、SNSでの投稿をみて来てくださった方、

 

そのほかにも私が携わっていた甲府市リノベーションまちづくり委員会のシンポジウムでの告知で知った方、そして竹の湯のある自治会の自治会長さんが私たちの活動を周知させるべく紹介記事を回覧で回してくださったりしたおかげで、アートには興味がない方も含めて老若男女、いろんな方面の方が足を運んでくれました。

 

そう、ちょうど展覧会最終日に、甲府駅を挟んで反対側にある高砂湯が90年の歴史に幕を閉じることもあり、高砂湯と併せて県外からいらっしゃる銭湯フリークの方もいらっしゃいました。

 

小さい頃に竹の湯に通っていたという方も。

 

山梨日日新聞2017年10月7日付「風林火山」。
ちょうど展覧会の最終日に、90年以上の歴史に幕を下ろした高砂湯。
展覧会が終わってから出展作家さんたちとタクシーに飛び乗り、高砂湯へ最後のお湯を浴びに行きました。
社説「風林火山」ではこの高砂湯の閉湯、そして私たちの展覧会にも触れてくださると同時に、私たちが問いかけたかったことを言葉にしてくれていました。

 

たくさんの人がひっきりなしに溢れかえる会場では、ここに来なければ交わることのないたくさんの人と人が繋がっていく様子を目にしました。きっと竹の湯がまだ銭湯だった頃、こんな風に普段の生活では決して交わらないであろう人々が出入りしていたんだろうなと思うと、過去と現在がオーバーラップするような不思議な感覚になりました。

 

そして、作品だけではない、場所が持つ力を感じながら、一歩動き出せたことを嬉しく思いました。

 

展覧会の設営中、出展作家たちとともに。
撮影:砺波周平

 

展覧会も子育ても自分ひとりじゃできなくて、たくさんの人が手助けしてくれること、それだけじゃなくて応援してもらえることがどれだけ励みになるか、身に沁みて感じました。改めて感謝するばかりです。

 

昔はなんでも自分ひとりでしなければ、できなければいけないと思っていました。

 

でも、こどもが産まれてこれまでの10分の1、いや100分の1くらいの仕事量しかこなせなくなって、なんでも自分でやろうと思わなくなり、うまい具合に手も抜けるようになりました。

 

不思議なのが、自分ひとりでキリキリしながらこなしていた頃より、今のやり方のほうがずっとうまく進むということ。

 

この冬で山梨に引っ越してきてちょうど3年。

 

3年前の今日、寒い中ドタバタと身内だけの結婚式を終えて、大きく膨らんできたお腹で車にたくさんの荷物を積み込んで甲府にやってきました。

 

あの時と同じ、冷たく澄んだ空気と雪をかぶった山々。

 

この3年で、夫婦ふたりから家族4人になっていろいろあったものでした。

 

この街で暮らして「内」の人になるのがとても怖かった。けれど、そろそろ私も内の人になりかけているような気がします。

 

竹の湯での展覧会は「外」の人だからできた展覧会でもありました。

 

いつまでも外の目線を忘れずに、内の心地よさや温もりも感じながら楽しく生きていたいです。

 

外はとっても寒い風が吹きすさんでいるけれど、歩いて街に出るといつも誰かに出会えて、あったかい気持ちになれます。あったかい気持ちで帰路を歩いていると、いつも向こうには連なる山々がこっちを見ているんです。それでまたあったかい気持ちになるんです。

 

毎日外に出歩いているからか、子供たちも風邪一つひきません。

今年も心身ともに健やかでいられるよう、たくさん歩いてたくさん喋ってたくさん美味しいもの美しいものに触れていきたいと思います。

 

遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

『Flowing out』でキュレーションしたアーティストぬQさんが郵便局とコラボレーションしてデザインした年賀状フレーム。写真は山梨の子育て応援誌『ちびっこぷれす』編集長 加々美吉憲さん。甲府市中心街にあるHitotzukiの《KOFU MURAL》(2016年)の前にて。


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雨垂れ石を穿つ

子育てってどんなイメージですか?

 

髪はボサボサ、自分の身なりは後回し、いつもイライラ、心はトゲトゲ。お肌はボロボロ、体もヘロヘロ。夫は口先ばかりで役に立たないし、せっかく仕事復帰しても時短勤務で会社の人からは遠回しに役立たず扱いされて、その上子供が熱出して早退した日には「もう戻って来なくていいのに~」って言いたげな顔を浮かべられて肩身は狭いわ、家に帰って慌ててご飯の用意をしても子供はちゃんと食べてくれないわ、取り込んだシワシワの洗濯物はたまる一方だというのに仕事から帰ってきた夫は呑気にビール飲んでテレビ見ながら笑ってるわ。あー、何もかもホント腹立つ!!!私だって一人だったらもっと輝いていて動けるのよ!私だって私の人生羽ばたけるんだから!!!

 

なんて思っていませんか?

 

出産も育児も暗くて深くてそれはそれは息苦しいもののように思っていました。「足枷」のような。子供を持ったら好きなことに時間もお金も割けない、自分のことは後回し、そんな脅しばっかり受けて、子供を持つことに興味が持てなかったのも仕方なかったと思います。まだまだキャリアも積めていない、むしろ駆け出しの私にとっては、子供を産むということ=自分の人生を諦めること、くらいに思っていました。

 

でも、実際に授かって子供と暮らしていると、毎日楽しかったんです。戻る職場がなくても、甲府でやりたい仕事が見つからなくても、それでも良いやっ、永遠に幸せっていうくらい楽しかったんです。

 

台風が過ぎ、夏が舞い戻り、スイカを着たがる息子。「見て〜!自分でズボンはけたよ〜!」と言うので振り向いたら、夫のゴーグルをかけて誇らしげに立っていました。まもなく2歳5か月。

 

ある朝目覚めたら、どこからかルドンの蜘蛛シールを取り出してきてお腹に貼り、「見てみて〜、真っ黒くろすけだよ〜!」と起こしてきた息子。確かに。

 

主婦の仕事は終わりがなくて、突き詰めようと思うと際限ない世界。超クリエイティブ。ましてや子供たちの命を預かる仕事。その上、夫や子供の体調管理、家計の管理、家の管理もして、大層責任重大であるからもはや一企業の社長?家庭が良い方向に傾くか、悪い方向に傾くかも、自分の裁量次第。もはや子育ては壮大なプロジェクトだと思えてきました。この壮大なプロジェクトが成功するかどうかは自分にかかっている。そう思うと、今までだったら我慢できなかったこともちっぽけなことに思えてきて、よくするためにはどうしたら良いか、どうやったらうまく動くか、そんな風に考えれるようになりました。

 

気は抜けないけれど、やりがいの点でいうとこれ以上の仕事はないというくらい、毎日学習と発見の繰り返しで、目に見える成果があって、こどものおかげで社会とも繋がっていられて、こんなに面白いことがあったんだと目から鱗でした。もっと早く産んでいればよかった、と心底後悔しました。なんで誰もこの楽しさを教えてくれなかったんだろう、と。

 

最近、上の子が撮影する次男や風景がなんとも言えず良い写真で、こんな風に世界を切り取るんだ、と感動してしまいます。

 

散らかったおもちゃも美しい。

 

いつの間にか長男が撮っていた次男の寝顔。まもなく8か月。

 

ただ、こどもと私で向き合って暮らしていても意味はなくて、お互いにたくさんの人に触れることが大事だと思うようになってきて、自分の心身の健康があってこそこどもとも朗らかな関係でいられると思うようになってきました。ただただ楽しくて幸せな時間だけを過ごしていても意味がないな、と。
人間は衣食住が足りていれば生きていける、などと言いますが、そんなことはないと気づいたのも同じ頃でした。

 

幸せな一方で、自分の心が飢えて渇いて死にそうになっているなと。

 

DVDじゃなくてスクリーンで映画が観たいし、大音量で音楽が聴きたいし、とにかく作品がみたくてたまらなかったと気づきました。

 

1人目を産んだあとは満たされた気持ちになったのに、2人目を産んだあと、心も体もぽっかり穴が空いてしまって、それを何かで充したくて仕方なくなりました(こどもが嫌だったわけではありません)。

そして、そろそろ何か仕事も探して動き出さなきゃ、と重い腰をあげて、保育園・幼稚園探しや仕事探しをはじめました。

 

でも、私がやっていた仕事は甲府にはない。

やりたい仕事がある東京へ通うことも考えたけれど、金銭面でも赤字、「やりがい」と「キャリア」をとったとしても家族が滅びていく姿がありありと目に浮かびました。

 

家族を壊してまでやるべきなのか悩みましたが、それも一瞬でした。

 

よし、こうなったら甲府で自分がやりたいことやっていこう、と。

 

自分が住む街で自分の見たいものが見れるようになれば、わざわざ子供達を引き連れて東京まで出向く必要もない。自分で呼んじゃえばいいんだ、あれこれ悩んだり文句言う前に、自分でやってみてダメだったらまた考えよう。そう気づいたらもう走り始めていました。

 

それで、いろんな縁が繋がって、元銭湯だった「竹の湯」さんで展覧会を開催することになりました。

 

2017年9月18日(月)付、山梨日日新聞 朝刊 社会面にて、竹の湯での展覧会「Flowing out」の紹介記事。

 

 

2日間限りの現代アートと現代工芸の展覧会。

展示するアーティストは自分たちが尊敬する・応援したい大好きな方々を。

脱衣所マルシェでは大好きな店やアーティストのグッズを販売。

まるっきりの自主企画で、まるっきり純粋に自分たちが作品を見たい人たちにお願いしました。

(自主企画なのでスポンサーも大募集しています。詳細は flowingout2017@gmail.com か末尾にあるDMの電話番号までお問い合わせください。)

 

時間はかかりましたが、とにかく動き出せることが嬉しいです。

 

東京に住むアーティストのもとへの打ち合わせにも、銭湯のオーナーさんへの挨拶や相談にもこどもを連れていきました。普通の仕事だったら「なに考えてるんだ」と嫌な顔をされそうなのに、みんな優しく受け入れてくれ、それどころか、展示でもこども達も楽しめるものにしようと一緒に知恵を絞ってくれました。勇気を出して動き出してみてよかった。

 

こどもと暮らしながら思うことは、「こどもはこども、大人は大人」と区切るのではなく、共存して生きていくためにどんな場所やどんな努力が必要か、そのために何ができるのか、と言うことです。

 

今は小さな滴かもしれないけれど、10年後、20年後、数十年後の未来に、何か残せるよう継続していきたいです。こども達が成長した時、この街でたくさんの文化や人に触れられるように。

 

雨垂れ石を穿つ

 

小さなこの一滴一滴がいつしか頑強な石に穴を開け、新しい景色を見せてくれる気がしてなりません。

 

展覧会の会場となる元銭湯「竹の湯」外観。

 

先日、会場となる銭湯のオーナーさんに言われました。

「あなたもこんな小さなこども達抱えて本当によく頑張ってるわね。実はね、最初は、できるはずないわって思っていたの。あなたも小さな子二人も抱えているし。こんな場所で展覧会なんかできるのかしらって。でも、できるのね。うちにも新しい風が吹きそうよ、って古い知り合いに話しておいたわよ。」と言われて涙が出そうでした。

 

私の心は今、とっても潤っています。

こども達が育っていくこの街で(この街を)どうにかしたいと思ったから行動に移すことができた、今回の企画。

自分一人だったらこんなにこの街を楽しめなかったし、楽しもうともしなかったし、向き合おうともしなかったし、遠い未来のことなんて考えてもいなかったに違いない。こんな出会いもなかった。

子育てって思いもよらないパワーや出会いをくれる。

 

若い頃の自分に教えてあげたい。

 

ぜひ遊びにいらしてください。

もちろんお子さんやお孫さんを連れて。銭湯に行くつもりで、気軽に。

 

展覧会のDM。
写真:砺波周平、デザイン:Miho Tarui


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まちは家族

甲府に来て3年目。

今日初めて友達の家にお邪魔して遊んで来ました。

 

甲府に来てからというもの、たくさんの人と出会ってきました。

お店で話し込んだり、自分がちょっとした活動を通して知り合った方のお宅へお邪魔したり、夫の職場の方、夫が仕事を通じて知り合った方のお宅にお邪魔したことはあったけれど、自分の「友達」と呼べる人の家に行って遊ぶというのは実は初めてでした。

 

上の子が2歳1か月、下の子が4か月。

 

ちょうど同じくらいの子のいるお母さんと知り合ったのは、甲府の中心街にある、とある老舗喫茶店でのことでした。

 

ふたりともまだ2人目の子を産むずっと前のこと。

1人目の子を連れてそれぞれ単独でランチをしていて、それはその喫茶店ではとても珍しい光景でした。

 

甲府の街中を歩いているとお母様と三世代で買い物をしているママさん、旦那さんと一緒に歩いているママさんは見かけることが多かったけれど、私のように母親一人で子供を連れて出歩いている人に出会うことが少なくて、つい嬉しくなって会釈したのでした。そしたらすぐに連絡先を交換することになり、その後連絡を取り合ったり、街中でばったり遭遇することも多くて、同世代の友達があまりいなかった私にも友達ができたのでした。それも同じ年頃のこどもがいる。

それぞれやってきた仕事や服装の趣味なんかは全然違うのだけれど、この喫茶店で出会った人なら悪い人じゃないだろう。きっと根本は気が合うのだろう。彼女と話しながら、出会った時にそんな風に考えていたことを思い出しました。
こども達を夫に預けてまで美容室に行く煩わしさ、

幼稚園や保育園に何を求めるのかということ、

甲府に対して思うこと、

小さなことから大きなことまであれやこれや。
甲府出身、でも甲府が大嫌いでずっと東京で仕事をして産後しばらくして戻って来た彼女が分析する甲府の問題は私が常々考えていたことと全く同じでした。

−何でもかんでも東京のコンサルに大金を払って解決しようとする傾向があるけれど、この街に住んでいる人じゃなきゃ解決できないことがある。何にも知らない人たちに投げても解決するわけない、とか。

 

−ベビーカーで入れる店が少なく、街中でオムツを替えることのできる場所が少ないから滞在しようにも難しい、とか。(私はもはや何処へでも乗り込む図々しさを持ち合わせてしまいましたが)

 

−街中の道路は狭いからベビーカーで歩き回ろうと思う人の方が稀だよね、とか。

 

−中心街にファミーリー向けの物件がなかなかないので引っ越すにも引っ越せない、とか。

 

−行きたいなと思う講演会やセミナーがあってもことごとく託児がついていない、とか。(彼女が第一子出産後しばらく暮らしていた区では託児が必ずと言っていいほどついていたので、たまに一人になりたい時にさほど興味がないセミナーでも申し込んで託児をお願いして息抜きしていたそう)

 

−外装や内装をテカテカの新しいのに変えたり新しい施設を作らなくても、ちょっとした工夫、例えば施設はそのままでもオムツ替えのできるトイレを一つだけ作るとか、授乳室を作るとか、こどもたちと遊べる一角を作るとか、それだけで滞在しやすい場所に生まれ変われるのに、とか。

 

子育て中のママたちってどこで遊んでるんだろう?と聞いたら、

「みんな郊外のショッピングモールに行っちゃうんだよ。」と。

 

それは全然悪いことではないけれど、こども達を抱えてわざわざバスや車に乗ってまで行きたくないよね。それに、こども達がこれから大きくなった時にやっぱりこの街で遊んだりデートしたりして楽しんでほしいから中心街には元気でいてほしいよね、なんて話をしました。

 

話の途中で彼女がポツリと言った一言。

 

「私みたいにずっとこの街を知ってる人間はさ、もう変わらないんじゃないかなーって諦めちゃうんだよね。」

 

この言葉を聞いて、甲府を舞台にした名作『サウダーヂ』(2011年、富田克也監督)のこのセリフを思い出してしまいました。

 

−「この街も終わりだな。」

 

でも私は全然諦めていません。

 

だから苦しい時もある。

だからこそ乳飲み児抱えてでも街のこれからに関わりたいと思ってあれこれ動き回っている。

 

思いが強ければ強いほど落胆したりイライラしたりすることも多いけれど、それだけ「ここを変えたらさらに良くなる」ポイントがあるということがわかっているという自負もあります。

 

この街で子育てをしていると、たくさんの人が気にかけて手を差し伸べてくれることが多く、甲府は何世代にも渡って協働できる可能性がある街だなと最近つくづく思います。

 

元気な年配者が多くていつも声をかけてくれて、助けの手を差し伸べてくれます。

 

「あら、1人かと思ったら赤ちゃんもいるの?大変だけど頑張ってね。今が一番楽しい時だって後から必ずわかるからね。」とか、

こども2人連れてバスに乗れば「危ないから私が見てるよ。あんたは赤ちゃんしっかり抱っこしてなさい。」と重たい上の子を膝に乗せてくれて、私の重い買い物バッグを手分けして持ってくれるおばあちゃんたち。

 

それ以上に驚くのが、小学生や中学生、高校生の子達までもが「可愛いですね。いくつですか?」と声をかけてくれたり、手を振ってくれたり、「2歳くらいですか?」と聞いてきたりすることです。

 

話してみると、その子達にも甥っ子や姪っ子、小さな弟妹がいるから赤ちゃんに慣れてるのだそう。

 

大人に声をかけられることがあっても、自分よりこんなに年の離れた子供達に声をかけられることなんて他のまちではなかったので、山梨の子ってすごいなと感心してしまいます。

 

そんな人たちと線引きせずに一緒にやっていける楽しさがこの街の魅力。

それって大きな意味での家族であり、社会であり、子育て世代の私にはこんな貴重な場所はないなと。

 

その一方で甲府に対して思うことも少なくなく。

なんで私はこんなに街に対してヤキモキしてるんだろう、恋でもしてるみたい、などとふざけたことを思っていたところ、

ある人に言われてハッとしました。

 

「まちは家族みたいなもの。家族だから文句もいいたくなるし、辛辣にもなる。けど、だから強い結びつきだよ。」と。

 

私は、私たちは、こんな大きな家族に包まれて暮らしていたんだな。

 

そんなことを記しておきたくなりました。

 

素晴らしき甲府盆地。武田の杜からの景色。

 

私たちが暮らす、この街。


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甲府にはすごい動物園があった

そういえば産後1ヶ月で里帰りしていた大分から甲府に戻ってきて少し落ち着いた頃のこと。上の子が太い輪ゴムを頭からかぶって服を着るような仕草で下ろそうと悪戦苦闘していました。

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何しているんだろう?と眺めていたら、腰まで輪ゴムをずりずりおろして、そこにクマのぬいぐるみを挟んで、ニヤニヤしながら「あっこ」と歩き回っていました。

 

私が赤ちゃんを抱っこするのを真似していたみたいです。

よく見てるものですねぇ。

 

行動だけでなく言葉もすぐに真似るので、ネガティヴな発言や悪口、汚い言葉使いをしないようにということだけは日々気をつけています。口が悪いとよく注意される私ですが、こどものおかげで美しい心を保っていられます。

 

こっちが何か教えなくてもどんどん自分で学びとって行為に還元していく、ギリギリまで手を貸さずにじーっと見ていると、もがきながらも自分でできたりするんですよね。なので、なるべく手は貸さない主義です。

 

こうやってこどもの成長につれて行動が変わるとともに、こどもの遊び方も変わってきて、日々の活動も今までの私メインの行動から息子メインの遊びへと変化してきました。0歳児の間は、私が行きたいところに連れ回すことがメインでしたが、1歳を過ぎて歩き始めると遊びたい盛りの好奇心の塊、そうも行かず。彼の意思を尊重するようにしないとエネルギーが有り余ってストレスが溜まってしまいますから。それはエネルギーの有り余る私にもよーくわかる、うんうん出かけて動き回らないと爆発しちゃうよね。

 

というわけで、こちらに戻って来てからというもの、上の子のために公園など動き回れる場所を求めて日々活動。

 

甲府市遊亀公園附属動物園に行ってきました。

 

この動物園は大正8年開設、平成31年には開園100周年を迎える長い長い歴史を歩んできた動物園。日本で4番目に古い動物園だそうです。

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駐車場から動物園に向かうと奥に見える壁画は、甲府にあるアーティスト・イン・レジデンスであるArtist in Residence YamanashiことAIRY(エアリー)に滞在していたアーティストFranky Bakkerさんが2014年に制作したもの。(詳細はこちら▷まちと人をつなぐかたち「甲府市遊亀公園附属動物園ウォール・ペイント&ピクニック」プロジェクト2014

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入ってすぐにある看板。ベンチに座って記念撮影ができるようになっていて、この手作り感満載の心遣いに出だしから心を掴まれる。

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少し進むと広場があり、園内MAPと今度は顔ハメ?看板。顔ハメにしてはでかい!

なんだろう、じわじわどんどん心を掴まれる。

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拡大。この看板を覗くと広場の奥には象がいて、「わ〜!象だ!」とテンションが上がる。看板の向こうの象に向かって思わず駆け出したくなる。小さいけれどちゃんとお客さんが楽しめるような仕組みと動線。

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こんなに至近距離で象を見たのは初めてかもしれない、こんなに近かったっけ?と興奮。食べ物にしか興味のない息子も、さすがに「ゾウだ〜!」ときづいてくれました。

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園内のあちらこちらにペインティングがあり、殺風景になりそうな園内が明るく和やかな雰囲気に。歴史ある動物園なだけあって施設は古びているけれど、園内のあちらこちらにこういうペインティングや看板があって、動物園の人たちがここを愛して大切にしていることがひしひしと伝わってきます。本当にちょっとした工夫で空間って蘇るものですね。

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うさぎ小屋の上には富士山らしきオブジェ。

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奥に見える壁画は、先ほどの壁画を制作したアーティストFranky Bakkerが地元のこども達と一緒にペイントしたもの。(詳細はこちら▷まちと人をつなぐかたち「甲府市遊亀公園附属動物園ウォール・ペイント&ピクニック」プロジェクト2014

 

ピカピカ最新の施設よりもずっとずっと楽しい!

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動物との距離もとてつもなく近い。この距離感がこの動物園を象徴しているような気がします。

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やや進んで少し疲れたなーと思うところで「無料休憩所」が現れる。憎い!

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見てください。このなんとも言えないオープンテラス!

ピカーンと晴れた日にここでおでんつまみにビールを飲んだら最高ですね。

どちらも隣の売店で売っています。

わかってますね。

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もうどんどん心を鷲掴みにされてしまう、この動物園。

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ところどころにある動物顔ハメ看板もたまらない。

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ゴミ箱だって抜かりなく動物に!いちいち可愛い!

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ライオンの檻の前には実際のライオンの毛のついたシュールなオブジェが。ライオンの毛の硬さを実際に触って体感できる。

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顔ハメ看板を探すだけでも楽しい動物園。

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そして動物園の突き当たりには遊園地が!入園料無料。

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中はすごいことに。

 

まさか稼働しているとは思わないようなレトロな遊具が所狭しとひしめき合う不思議な空間に。ぜひご自分の目で確かめに行ってください。

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メリーゴーランドの中心には造花が。

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この色彩がもう現代のものではないことを証明している。

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なかには10円のゲーム機とか1956年製の遊具も。

なぜだかわからないけれど興奮してしまいます。

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壊れたと思われる遊具を園内のあちこちにディスプレイすることで再利用。

ちょっとシュールだけど、たまらない。

 

こんなに面白い要素たっぷり、「ふれあいコーナー」ではモルモットを触らせてもらえたりのこの動物園、なんと入園料は大人320円。我が家のこどもは無料。小・中学生は30円だそう。

 

320円でこんなに楽しめるなんて、と久しぶりに興奮した一日でした。

もちろん息子も楽しかったようで、帰り際には帰りたくないと珍しく泣き叫んでいました。

 

平日にもかかわらず、普段は街を歩いていても見かけないベビーカー連れの親子やママ友同士もたくさんいて、そうか、みんなここに来てるのか〜!と納得。

 

そうそう、この日はとにかく早く出かけようとお昼ご飯を調達してから出かけました。たまにはこんな日も、ね。

 

向かった先は我が家の最寄りのパン屋さん、ずんちゃんパン。

朝7時から開店しているので早朝に出かける時など重宝しています。

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そして、おかずは動物園の近くの「孫六」さんへ。

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玉子焼だけ買うつもりが他のものも美味しそうで太巻きやお稲荷さんも買ってしまいました。

 

「写真を撮ってもいいですか?」と伺ったところ、

「本当は玉子焼焼いてるとこ撮ってほしいんだけどな〜。」と笑いながら承諾してくださいました。ありがとうございます。

 

お店のご主人に「すごいですね!この玉子焼器!今でも使っているんですよね?まだ売っているものなんですか?」と伺ったところ、「今でもこれを使って焼いてるんだよ。焼いてるところを見せれればいいんだけどね。でもこれね、もう生産していない型だからね。これが壊れたらもう終わりだよ。」とのこと。だましだまし50年以上使い続けているんだそうです。

住宅街の間の路地でひっそりと営んでいる孫六さん。

だしのしっかり効いた玉子焼は一杯飲みながら食べたくなるような味で、今度買うときは焼酎か日本酒をぐいっとやりながら食べよう。

 

いやいや、動物園で昼間っからビールのお供にするのもまた良し、ですね。

 

*

 

甲府市遊亀公園附属動物園

山梨県甲府市太田町10番1号

 

Artist in Residence Yamanashi

山梨県甲府市丸の内2丁目37-2

 

ずんちゃんパン

山梨県甲府市上石田2-9-7

「なつかしくておいしすぎる惣菜パン満載『ずんちゃんパン』」

(甲府でしかできない50のこと)

 

孫六

山梨県甲府市太田町13-6


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新生児(産婦)訪問と甲府の子育て支援

新しい家族との生活にも慣れ、ようやくリズムが掴めてきました。

 

こどもが2人に増えたら単純に2倍忙しくなるわけではなく、3倍にも4倍にも忙しくなるような不思議な状況で、掃除洗濯、三食のご飯を作って授乳やオムツ替えをしているだけで一日があっという間に過ぎていってしまいます。それでも珈琲を淹れてホッとする時間も、こうやってパソコンに向かう時間も取れるので、要はどこにどれだけの時間をかけて何を取捨選択するのかという、その人なりの時間と心身のマネジメントなんだなと当たり前のことに気づいた今日この頃です。世の中のお母さん、それを支えるお父さんや周りの皆様、みんなみんなお疲れ様です。

 

そしてもうひとつ当たり前の事ですが、人数が増えることでこども2人に対して精神的にも物理的にもそれぞれに100%向き合えない、100%満たしてあげることのできない状況になり、上の子(現在1歳10ヶ月)は愚図ったり甘えるようになりました。

 

必ずどちらかに「申し訳ないな、かわいそうだな」と思う瞬間があるけれど、上の子はこれまで驚くほど愚図る、甘えるということが少なかったので、逆にこどもらしい面があってよかったとホッとしている自分もいたり。手がかからないのは確かにありがたいけれど、親にとって都合の「いい子」でいるよりも、こどものうちにたくさんの感情を爆発させて発露してほしいなといつも願っています。

 

一方で上の子は、赤ちゃんが泣いていると赤ちゃんを指さして「パイパイ!」と言っておっぱいをあげなさいと指導してきたり、うんちをする音がすれば「ブリブリブリブリー!」と嬉しそうに指差して走って新しいオムツを取りにいき私に手渡してきて、オムツを替えてあげなさいと指導してきたり、泣き止まないと「あっこ、あっこ」と言って赤ちゃんを抱っこしてなだめてキスしてあげたり、なかなかに頼もしい協力者でもあります。

 

さて、こちらでの生活再開も落ち着いたところで、助産師さんの「新生児(産婦)訪問」がありました。

 

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助産師さんはエプロンとマスクを着用して、体重計を抱えてやってきてくれます。赤ちゃんの体のチェック中。

 

新生児(産婦)訪問は現在全国のほとんどの市町村でも実施されているようですが、甲府市でももちろん行われています。子が産まれたら、母子手帳に添付されている「出生連絡票」に必要事項を記入して市に提出。その出生連絡票を受けて担当の助産師さんから直接連絡があり、まずは電話で出産や産後の様子を聞かれ、訪問の日時を相談。当日は母子手帳とタオル(体重を計測する際に必要)を用意。

 

助産師さんが訪問して何をするのかというと、

(母子)1ヶ月検診の結果や出産の際の状況と現在の体調の確認

(子)体重測定

(子)発育・栄養状態(一日の授乳の回数、うんちの回数、1ヶ月検診以降の体重増加を日割り計算して適した成長をしているか確認)のチェック

(母)血圧測定

(母)乳房・授乳の様子のチェック

(母)心の状態のチェック

があり、あとはこちらが気になることをどんどん質問したり、今後の予防接種や健診のスケジュール説明、甲府市内の子育てに関するさまざまな情報を教えてもらうことができます。

 

時間としては約1時間。

どのくらい質問するかで時間も変わってくると思いますが、私はかなり質問したので長くかかった方だと思います。

 

2人目とはいえ、中身も外身も違う人間ですから、新しい発見とともに新たな疑問も湧いてきます。今はインターネットでいろんなことが調べられるので「こんなこと聞かなくても答えはわかってるよね」という細々したことも聞いてみると、プラスアルファの知識や情報で教えてもらえるので、やっぱり聞くに越したことはないなと個人的には思います。

 

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甲府市内・山梨県内の子育て関係施設や離乳食やベビーマッサージ教室のことを「広報こうふ」や各センターのお便りを見せながら説明してくれます。忘れっぽいのでメモ必須。

 

甲府市内で子育て中の親子やこどもを対象にした施設としては、

幼児教育センターと旧相生小学校跡地内にある甲府市保健センターがあるそうです。

 

幼児教育センターは

中央部幼児教育センター(上石田)

北部幼児教育センター(岩窪町)

中道つどいの広場(下向山町)

の市内3箇所にあって、小学校に上がる前のこどもとその両親を対象に、裸足で遊べるプレイルームや図書コーナーがあり、身長体重測定ができたり、読み聞かせの会があったり、乳幼児救急法に体操にベビーマッサージにヨガにといろんな公開講座や季節のイベントが開催されているようです。

 

甲府市保健センターは、乳幼児の集団健診の会場ともなるところですが、こちらでもパパママクラスや離乳食教室、ベビーマッサージなどのいろんな教室が開催されています。

以前は「まちなか健やかサロン」として街中にある岡島百貨店内に常設スペースがあり、申込不要で気楽だったし、教室が開かれていないときでもいつでも開放されていたので買い物の休憩がてら遊びに行ったりしていたのですが、保健センターに移動してからは教室が開催されているときだけの開室、健康談話室までの電話申込制に変わってしまったようです。

 

子育て情報は本当にいろんなところに情報が散らばっていて、年度によって制度や状況も変わるのでチェックするのが大変ですね。

 

助産師さんには「コロコロ変わるとお母さんも大変ですよね。大体の情報が出ているので『広報こうふ』をチェックしていてくださいね。」と言われました。

 

他に、山梨県笛吹市に2016年にオープンした宿泊型産後ケア施設 産前産後ケアセンターも紹介していただきました。

 

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こちらは産後4ヶ月までの母親とその乳児が宿泊しながら心身のケアをサポートしてもらえる施設で、山梨県在住の母子は「山梨県産後ケア事業」の対象者として、県と住んでいる市町村からの助成によって、33,900円(1泊2日、通常料金)が6,100円(1泊2日)!で宿泊できるそうです。日帰り滞在もできるそうで、出産から心身のケアが必要な産後4ヶ月までのお母さんが心と身体を休める為に、助産師さんなど専門家から直接アドバイスを受けたりできて、授乳や沐浴で不安がある場合は指導してもらったり、「ゆっくり眠りたい」というお母さんのために乳児をみていてもらうことができたりするそうです。施設内には温泉があるので「温泉にゆっくり浸かって日頃の体の疲れを取りたい!」という理由でもいいそうです。妊娠中の方も、産後5ヶ月以降の方も利用できるそうです。

 

それから、2017年4月から、甲府市には「子育てコンシェルジュ」が立ち上げられ、保育園入園に関する相談やアドバイスを受けたり、子育て全般に関する相談の窓口ができるそうです!我が家のように甲府が地元でない家族にとっては、土地勘もなければ保育園も幼稚園も学校もまったくよくわからないのでこういう窓口ができて相談できるのはとてもありがたいです。開設したら相談に行かなくては。

 

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それにしても今日は夕焼けと山々の連なる稜線が特に綺麗でした。そういえば「せっかく山梨に住んでいるんだから、こどもをおぶって山登りしたいね」とアウトドアセレクトショップSUNDAYで登山にも使えるmont-bellの抱っこ紐(生後4ヶ月〜着用可、折りたためて超コンパクトになる優れもの!)を買ったのに、まだ一度も山登りできていないなぁ…。山梨で子連れで楽しめる山、どこでしょう?

 

赤ちゃんも生後4ヶ月過ぎたら季節もいい頃、今年こそ登るぞ!


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ネクストステージへ

みずみずしいフルーツとともに乗り切った夏の思い出から半年。

 

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山梨の幸。マンションのお隣のお隣さんからのいただきもの。

 

2017年になって早2か月が過ぎ、もう3月はすぐそこ。春。

私は今、大分にいます。

 

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大分の幸、カボス。

 

あれよあれよと時は過ぎ、私は2児の母になりました。

 

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実家のある大分に里帰りして3か月。

おかげさまで母子共に何事もなく産後1か月を迎えることができたので、ようやく甲府に戻る日が近づいてきました。

 

このコラムを書き始めた頃には甲府に友達も知り合いもいなかった私ですが、今では私や子ども達の帰りを「待ってるよー!」と言ってくれる人たちがたくさんいてくれて、

私は私ですっかり甲府が恋しくなっていて、

待ってくれている人がいて、帰る場所があるっていいなぁ、なんてしみじみありがたく思っています。

 

この冬で甲府に移住して2年。

 

気がつけば、

街を歩くと知り合いに出くわして手を振ったり、店先で立ち話したり、なんてことが結構日常になっていました。ほんのちょっと離れるだけなのに、甲府を離れる前には激励会と称して山梨の各方面で活躍するパワフルウーマンの面々が集合して持ち寄りランチ会を開いてくださったり、編み物仲間でランチに行ったり、転勤でもするのかい、とツッコミたくなる勢いでいろんな人と会ったりして、余計に離れるのが寂しくなりました(笑)。

 

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一品持ち寄りランチ会の豪華さはメンバーだけじゃない。どれもこれも美味しくてクオリティが高くて、ちょっとした衝撃でした(笑)。

 

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経済的どころか下手な外食よりずーっと豪華で美味しい料理。

 

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甲府を離れるころ、街もクリスマスモードに。寺崎コーヒーのカフェラテ片手に岡島百貨店前で。

 

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里帰り前に、家族でレストランボンマルシェにて最後のディナー。なかなか行けないけれど、いつ行ってもサービス・味ともに安心するレストランで大好きなんです、ここ。一人目の出産前にも「もうゆっくり夫婦二人で食事することもできなくなるかもしれないね」と最後のディナーをしました。私たちにとっては、子どもの成長や記念日を共に過ごしていきたいと思える貴重なお店。そして、このお店に来ている他のお客さんもこのお店のように安心できる方が多くて、店は人なり、と暖かな気持ちで最後の外食を締めくくり、懐は寒いが心はあったかな夜を過ごすことができました。

 

さて、2016年はすったもんだがたくさんあり、家族ってなんだろう、夫婦ってなんだろうと本当に真剣に悩んだり考えた一年でした(話すと長くなるので行間をお楽しみください…!)。でもそんな時もたくさんの人が相談にのってくれて、きついアドバイスもおもしろすぎるアドバイスももらえて、おかげで生きながらえることができました。本当にみんなに助けられて生きているんです。。

 

また、“主婦”という肩書きで委員の一員として参加することになった甲府リノベーションまちづくり構想策定委員会では、とにかく多くの刺激を受け、改めて甲府での「暮らし」や「未来」について考えるだけじゃなくて、行動する大切さを痛感しました。

 

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こちらは2016年9月〜10月にかけて行われた、リノベーションスクール@甲府終了後の集合写真(撮影は同じく委員の土屋誠さん)。地元代表のサブユニットマスターとして参加。こんなにたくさんの人が甲府の未来を思って集まり、考え、行動しました。

 

委員のお一人で、Four Hearts Caféなどを経営されている大木さんの

「何がやりたいかではなく、何ができるか」

という重みのある言葉がずっと引っかかっていた2016年。

 

2017年、年子になる子ども二人を連れてどれだけ何ができるのか。

いつどこで人生が終わっても後悔しないように生きる、今年もその気持ちを忘れずに生きていきたいです。

 

赤ちゃんの退院の日、上の子を連れて迎えに行ったら、私が持ちきれない重い荷物を引きずりながら運んでくれて、帰りのタクシーでも「あっかぁ、あっかぁ」と言って触ったり乗っかったり。二人が愛おしくて涙が出ました。

 

これから何があっても強く生きていける。

二人にパワーをもらってネクストステージも頑張れそう。

心からそう思えました。

 

大変なこと、楽しいこと、子どもとのいろいろをここで再び綴っていきたいと思います。

 

今年もお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします!


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夏の思い出

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8月31日、高野牛肉店のコロッケを頬張りながら、「夏終わっちゃうねー」と話していたら、なんだか急に寂しくなり…思い立って数人で勝沼にある喫茶ミカヅキへ。夏の終わりの大人の遠足。名残おしく切なくも素敵な夏の思い出ができました。

 

さてさて、あっという間に8月が終わり、もう9月。

 

小学生のお子さんを持つ周りのお母さんたちは、子どもと一日中付き合わなければいけない“魔の夏休み”が終わって嬉しいやら寂しいやら、だそうで、何年か後にそんな風に思う時が来るのかなーと勝手にしみじみ。高校生のお子さんを持つお母さんたちは、いよいよ本格的な受験の季節到来ということで、気合入れなきゃと、それぞれに夏が終わり、一区切りの季節。

 

このところの甲府は朝晩「あれ、クーラーつけっぱなしだった?」と思う程、涼しい日が続いています。とはいえ、甲府盆地の夏は、日中ベビーカーでの散歩はとてもできないほど殺人的な暑さの猛暑日が続き、私もいよいよ抱っこ紐を買って、バスで移動する日々でした。

 

あまり歩き回ることもできず、体力もなくなってしまい、この夏はすっかりバテていました。
でも、ここはフルーツ王国山梨。
今年の夏は、山梨の幸、フルーツのおかげでなんとか乗り切ることができました。

 

初夏。5月になるとハウスの桃に始まり、6月に入るとさくらんぼの季節。

初夏。5月になるとハウスの桃に始まり、6月に入るとさくらんぼの季節。

 

 ミカヅキの出張喫茶@itokaraにて、さくらんぼのタルト。宝石のように美しいです。

ミカヅキの出張喫茶@itokaraにて、さくらんぼのタルト。宝石のように美しいです。

 

さくらんぼの後は、いよいよ露地物の桃。CELEO 2階、甲府駅改札横のお土産屋さんでは、はねだしの桃が2玉で\340。午前中に売り切れることが多いそう。お土産用の箱入りの桃も店頭販売されていました。

さくらんぼの後は、いよいよ露地物の桃。CELEO 2階、甲府駅改札横のお土産屋さんでは、はねだしの桃が2玉で¥340。午前中に売り切れることが多いそう。お土産用の箱入りの桃も店頭販売されていました。

 

そして、7月に入るとソルダム。ソルダムと言うと聞き慣れない方も多いのでは?山梨県のスモモの主力品種だそうです。

そして、7月に入るとソルダム。ソルダムと言うと聞き慣れない方も多いのでは?山梨県のスモモの主力品種だそうです。

 

いつもは自分で買うけれど、この桃、いつもお世話になっている方が「沢山貰ったから」とお裾分けしてくださいました。部屋に置いているだけで甘い匂いがぷ〜んと漂う、幸せな匂いが充満。大ぶりで甘くて夏の疲れによく効く、大切なエネルギー源。

いつもは自分で買うけれど、この桃、いつもお世話になっている方が「沢山貰ったから」とお裾分けしてくださいました。部屋に置いているだけで甘い匂いがぷ〜んと漂う、幸せな匂いが充満。大ぶりで甘くて夏の疲れによく効く、大切なエネルギー源。

 

暑さで食欲が全くなくなってしまったこの夏。しかしカレーなら食べれる、食べたい!いてもたってもいられなくて、こんなに安くてやっていけるの?と思わず心配になってしまうインド・ネパールレストラン ミランへ。岡島百貨店近く、六曜館骨董店の向かい、和菓子の老舗澤田屋さんのすぐ近く。すごく好みの味。美味しい。何よりインド人(?)店員さんの丁寧すぎる接客が大好き。隣の席では80代くらいのおばあさま2人が終活と嫁の話で盛り上がり、後ろではユニタス日本語学校の学生さんと思われる沢山の外国人の若者が盛り上がり、私はと言えば、相席になった近所で働いているというおばさまと甲府のランチ事情と子育て話で盛り上がり。この雑多感は甲府ならでは?

暑さで食欲が全くなくなってしまったこの夏。しかしカレーなら食べれる、食べたい!いてもたってもいられなくて、こんなに安くてやっていけるの?と思わず心配になってしまうインド・ネパールレストラン ミランへ。岡島百貨店近く、六曜館骨董店の向かい、和菓子の老舗澤田屋さんのすぐ近く。すごく好みの味。美味しい。何よりインド人(?)店員さんの丁寧すぎる接客が大好き。隣の席では80代くらいのおばあさま2人が終活と嫁の話で盛り上がり、後ろではユニタス日本語学校の学生さんと思われる沢山の外国人の若者が盛り上がり、私はと言えば、相席になった近所で働いているというおばさまと甲府のランチ事情と子育て話で盛り上がり。この雑多感は甲府ならでは?

 

 この夏、一番の感動は、土方洋蘭園の丸ごと果肉氷とジェラート。果実氷は苺氷、柿氷、桃氷とあり、どれも完熟した果実を丸ごと凍らせ、それを削ったもの。水で一切薄められていない、丸ごと全部果実でできた贅沢なかき氷はとにかく濃厚でジューシー。苺氷は午前中で完売とのことで桃氷を頂きました。

この夏、一番の感動は、土方洋蘭園の丸ごと果肉氷とジェラート。果実氷は苺氷、柿氷、桃氷とあり、どれも完熟した果実を丸ごと凍らせ、それを削ったもの。水で一切薄められていない、丸ごと全部果実でできた贅沢なかき氷はとにかく濃厚でジューシー。苺氷は午前中で完売とのことで桃氷を頂きました。

 

こちらは苺のジェラート。濃厚でたまらない。外に設置されたテーブルで食べなければいけないけれど、洋蘭園ということで洋蘭以外にもたくさんのハーブや植物がある敷地内。水を浴びた植物たちに囲まれているので暑さはさほど気にならず。テーブルの足元に置かれた蚊取り線香の匂いと、扇風機の風と、ちょっとダサいトレイや手書きの説明。まるで田舎のおばあちゃんの家に来たような、何でもかんでもオシャレでないところが妙に和む居心地の良い場所。県外の友達が来たら是非連れて行きたい山梨らしい場所。果肉氷とジェラート併せて¥950という破格の値段も凄いです。

こちらは苺のジェラート。濃厚でたまらない。外に設置されたテーブルで食べなければいけないけれど、洋蘭園ということで洋蘭以外にもたくさんのハーブや植物がある敷地内。水を浴びた植物たちに囲まれているので暑さはさほど気にならず。テーブルの足元に置かれた蚊取り線香の匂いと、扇風機の風と、ちょっとダサいトレイや手書きの説明。まるで田舎のおばあちゃんの家に来たような、何でもかんでもオシャレでないところが妙に和む居心地の良い場所。県外の友達が来たら是非連れて行きたい山梨らしい場所。果肉氷とジェラート併せて¥950という破格の値段も凄いです。

「甲府でしかできない50のこと」でも取り上げられていました!詳しくはこちらを
「完熟フルーツまるごと削ってます!土方洋蘭園『農園カフェ』の果肉氷」

 

カフェの奥にはいろいろな植物や花の苗が販売されています。

カフェの奥にはいろいろな植物や花の苗が販売されています。

 

蘭が並ぶスペースは壮観。

蘭が並ぶスペースは壮観。

 

甲府の夏の空は、嘘みたいに青い空が広がり白い雲が浮かんでいます。この夏、いつの間にか息子もよく歩くようになり、手を引いて散歩する日も。あっという間に成長していってしまうんだなぁと嬉しくも寂しい今日この頃です。

甲府の夏の空は、嘘みたいに青い空が広がり白い雲が浮かんでいます。この夏、いつの間にか息子もよく歩くようになり、手を引いて散歩する日も。あっという間に成長していってしまうんだなぁと嬉しくも寂しい今日この頃です。

 

夏休み番外編。東京から友人が遊びに来てくれたので、皆で白州は台ヶ原へ。水信玄餅を求めてたくさんの観光客が押し寄せていた台ヶ原金精軒本店。でも水信玄餅は土日限定なので要注意。

夏休み番外編。東京から友人が遊びに来てくれたので、皆で白州は台ヶ原へ。水信玄餅を求めてたくさんの観光客が押し寄せていた台ヶ原金精軒本店。でも水信玄餅は土日限定なので要注意。

 

私はプリプリの水饅頭で潤いチャージ。

私はプリプリの水饅頭で潤いチャージ。

 

斜め前の七賢酒造もたくさんの人。山梨では言わずとしれた日本酒の醸造元として有名で、最近では日本酒のスパークリングも販売を始めたり、三百年続く老舗ながら新しい挑戦を続けているんですよね。中では試飲もできます。

斜め前の七賢酒造もたくさんの人。山梨では言わずとしれた日本酒の醸造元として有名で、最近では日本酒のスパークリングも販売を始めたり、三百年続く老舗ながら新しい挑戦を続けているんですよね。中では試飲もできます。

 

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とにかく美味しいから絶対行ってみて!とオススメされていたBrevicauleさんはあいにくの定休日。夜は甲府駅北口のd&department Yamanashiで食事を。子連れにも優しく、山梨産の野菜や肉を堪能できるので重宝しています。

とにかく美味しいから絶対行ってみて!とオススメされていたBrevicauleさんはあいにくの定休日。夜は甲府駅北口のd&department Yamanashiで食事を。子連れにも優しく、山梨産の野菜や肉を堪能できるので重宝しています。

 

8月に入るとシャインマスカットの季節到来。皮ごとパクッといけるので、葡萄の皮を剥くのが苦手な人、働いていて忙しい人にオススメのフルーツ。

8月に入るとシャインマスカットの季節到来。皮ごとパクッといけるので、葡萄の皮を剥くのが苦手な人、働いていて忙しい人にオススメのフルーツ。

 

採れたてホヤホヤ、大粒のなんとも立派な藤稔(ふじみのり)を頂きました。藤稔は大粒なのに甘さが詰まっていて滴るようなジューシーさ!ザ・葡萄!あまりの美味しさに感動して、すぐに注文して両親や友達に贈りました。

採れたてホヤホヤ、大粒のなんとも立派な藤稔(ふじみのり)を頂きました。藤稔は大粒なのに甘さが詰まっていて滴るようなジューシーさ!ザ・葡萄!あまりの美味しさに感動して、すぐに注文して両親や友達に贈りました。

 

そんな藤稔を使ったタルトをミカヅキさんにて。甘いのにさっぱりしていて、重くないのに満足してしまうミカヅキさんのスイーツ。

そんな藤稔を使ったタルトをミカヅキさんにて。甘いのにさっぱりしていて、重くないのに満足してしまうミカヅキさんのスイーツ。

 

ミカヅキさんは勝沼ぶどう郷駅から徒歩2分なので、子連れでも行きやすくて嬉しい場所。20数分間の電車の旅と駅から降りて眼前に広がる景色は、日常から解き放たれる貴重な時空間。勝沼はこの時期、濃い緑が山々一面に広がり、葡萄畑には葡萄の実がたわわに育ち、本当に綺麗です。そして、勝沼から遠くに見える山々に囲まれた甲府盆地の景色はとてつもなく綺麗で、「あー、あそこから来たんだ」と深い感慨をもたらしてくれます。

ミカヅキさんは勝沼ぶどう郷駅から徒歩2分なので、子連れでも行きやすくて嬉しい場所。20数分間の電車の旅と駅から降りて眼前に広がる景色は、日常から解き放たれる貴重な時空間。勝沼はこの時期、濃い緑が山々一面に広がり、葡萄畑には葡萄の実がたわわに育ち、本当に綺麗です。そして、勝沼から遠くに見える山々に囲まれた甲府盆地の景色はとてつもなく綺麗で、「あー、あそこから来たんだ」と深い感慨をもたらしてくれます。

 

甲府に住んでいる方もそうでない方も、ぜひ一度勝沼からの景色を見に訪れてみてくださいね。

 

荒川橋から見える富士山。いつもの景色、日常へ。

荒川橋から見える富士山。いつもの景色、日常へ。

 

さて、9月も頑張ろう。


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編み物から学ぶ

「手芸屋さん」や「手作り」と聞くと、なんとなくダサくてクオリティもイマイチなイメージ。だったら好みのものを買った方がいいよね、と思っていました。

 

それでも、こどもが産まれてくるんだ、と思うと、何か作ってみたいという思いもよらない感情が芽生え、待ち遠しい気持ちを紛らわせるかのように、大きなお腹で布おむつやよだれかけをチクチクと縫ったものでした。今思えば、作りたいというよりも、何か手を動かしていたかっただけかも、と思わなくはないですが。

 

さて、私が抱いていた「手芸屋さん」のイメージを一変させたのはitokaraさんでした。

 

前回のコラムでちらっと紹介させていただきましたが、itokaraさんは甲府にある手芸アトリエ兼ショップです。

 

店内の様子。

店内の様子。

 

白を基調としたコンパクトな空間は、手芸好きなら誰でも知っている(手芸好きではない私でも知っていた)有名な京都の手芸系の専門店AVRILの色とりどりの糸、シンプルなリネンやコットンの生地、編み物や手芸関係の書籍、手芸道具など、選びぬかれた最低限のものがスッキリと並べられています。また、大きな作業テーブルがあり、そこで編み物、縫い物、織物ができるようになっています。

 

「え、今の手芸屋さんってこんなにオシャレなの?」と思わず声に出してしまいました。

 

 昨年のクリスマスシーズンにitokaraさんで行われていた、玄能さんによる木彫のサンタクロースの展示の一コマ。何と甲府在住の作者の玄能さん、かつてフンデルト・ヴァッサーに師事していたそうです。甲府にそんなすごい方がいるなんて!と大興奮。こうした展示だけでなくワークショップや出張喫茶などのイベントもあり、いろいろと楽しめます。

昨年のクリスマスシーズンにitokaraさんで行われていた、玄能さんによる木彫のサンタクロースの展示の一コマ。何と甲府在住の作者の玄能さん、かつてフンデルト・ヴァッサーに師事していたそうです。甲府にそんなすごい方がいるなんて!と大興奮。こうした展示だけでなくワークショップや出張喫茶などのイベントもあり、いろいろと楽しめます。

 

フンデルト・ヴァッサーの作品集。久しぶりに引っ張り出してみました。うっとり、しかし刺激的。

フンデルト・ヴァッサーの作品集。久しぶりに引っ張り出してみました。うっとり、しかし刺激的。

 

置いてある本を手に取ると、とっても可愛い色味のベビー用ニットカーディガン。もう絶対これを作りたいという情熱スイッチがオンになり、「これ作りたいんですけど、どれくらいでできますかね?頑張れば一週間くらいでできますか?」と聞いた時、店主のゆかさんがなんとなく口を濁したのを今でも覚えています。そんなわけないですよね…。

 

itokaraさんには「編み物部」という編み物教室的なものがあるというので、参加して編み始めることとなりました。

 

それが昨年の初夏。半袖にサンダル姿、スリングに息子を抱っこして訪れた日のことは今でもハッキリ思い浮かびます。

 

渋いイエローと深いブルー、迷った末に左を選びました。糸を見ているだけでも幸せな気分に。

渋いイエローと深いブルー、迷った末に左を選びました。糸を見ているだけでも幸せな気分に。

 

これから編めば冬には間に合うだろう、という算段も空しく、こんなにかかってしまいました。

 

先日、ようやく完成。

夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬も過ぎて春も終わり、もはや夏を迎えそうだけど、ようやくできた念願のニットカーディガン。

夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬も過ぎて春も終わり、もはや夏を迎えそうだけど、ようやくできた念願のニットカーディガン。

 

私がitokaraさんに行こうと思ったのは、

  1. 仕事をはじめたらできなくなりそうなこと、今だからこそできることをとにかくたくさん経験したかったから
  2. ブサイクでもいいからなにかひとつ、「こんなの作ってくれたんだ」と将来思ってもらえるような大作を子どものためにつくってみたかったから
  3. 保育園や幼稚園に入ると必然的に裁縫を強いられることが多いと耳にしたので、時間のあるうちに手を慣らしておかなければと思ったから
  4. 「編み物部」、「縫い物部」、「織物部」などがあり、編み物部は1回2時間500円という気軽にチャレンジしやすい時間と金額設定だったから
  5. エネルギーが有り余っていたのでとにかく手や頭を動かしたかったから

 

“赤ちゃんがいると自分のことは何もできない”、というイメージがありましたが、まだ寝てばかりの新生児の頃はむしろ色々と活動するチャンス。「歩き出すと手も目も離せないよ!」と脅しを受けたりするので、今こそがチャンスとばかりに始めたのでした。

 

編み物に挑戦してみて気付きました。

 

編み物って不思議なもので、自分の性格そのものと向き合うようなところがあって、最初の大事なところを確認せず丁寧にやらずにとりあえず突き進んでしまうところ、なんかおかしいと気づいても、今引き返したら余計混乱する!とやり続けてしまうところ、やけに細かく丁寧なのに、よくわからなくなると大胆な動きをするところ、などなど。

 

過去の自分の仕事ぶりとオーバーラップして落ち込むし、もう見たくない&治したい自分の嫌な部分のオンパレードと向き合う耐え難い闘いだったりして、それはもう、苦行を終えたあとの僧侶の気分です。

 

itokaraさんの編み物部だけでなく、昼夜問わず空き時間を見つけては家で編んだり、旅路の飛行機の中で編んだり。ようやく真面目に向き合い出した頃。ちょっとできると調子に乗るところも、私の治したい性格の一つです。

itokaraさんの編み物部だけでなく、昼夜問わず空き時間を見つけては家で編んだり、旅路の飛行機の中で編んだり。ようやく真面目に向き合い出した頃。ちょっとできると調子に乗るところも、私の治したい性格の一つです。

 

が、早速挫折しそうになり、浮気その1。簡単な鍋敷きで満足感を得て、自分を奮い立たせる。

が、早速挫折しそうになり、浮気その1。簡単な鍋敷きで満足感を得て、自分を奮い立たせる。

 

それでもやはり心が折れそうになり、浮気その2。エコアンダリヤで編んだカンカン帽。達成感を得て再び自分を奮い立たせる。

それでもやはり心が折れそうになり、浮気その2。エコアンダリヤで編んだカンカン帽。達成感を得て再び自分を奮い立たせる。

 

もう浮気ばかり。。浮気その3。AVRILの糸で編んだどんぐり帽。

もう浮気ばかり。。浮気その3。AVRILの糸で編んだどんぐり帽。

 

カーディガンは諦めたのかな、と思われていたと思います。浮気その4。指編みWSで編んだ丸椅子カバー。これは1時間ちょっとであっさり完成するので、たまらなく達成感を得られます。

カーディガンは諦めたのかな、と思われていたと思います。浮気その4。指編みWSで編んだ丸椅子カバー。これは1時間ちょっとであっさり完成するので、たまらなく達成感を得られます。

 

それでも、編むこと自体は楽しいというところも、完成してみると自分でもどうやって作ったのかわからないくらい意外とちゃんと形になっているところも、笑えるくらい自分の性格や仕事ぶりを表していて。

 

増し目の仕方がわからなくて頭がおかしくなりそうだったけれど、本を解読しながら自力で増し目が出来、歓喜の中にいた頃。

増し目の仕方がわからなくて頭がおかしくなりそうだったけれど、本を解読しながら自力で増し目が出来、歓喜の中にいた頃。

 

クリスマスだ、正月だ、と行事にかこつけて中断していたものの、再開。あと少し、と見せかけてここからが山でした。ここから終わりそうで終わらないモヤモヤ地獄へと陥り、修論を執筆していた頃を思い出し、苦しくなる。

クリスマスだ、正月だ、と行事にかこつけて中断していたものの、再開。あと少し、と見せかけてここからが山でした。ここから終わりそうで終わらないモヤモヤ地獄へと陥り、修論を執筆していた頃を思い出し、苦しくなる。

 

あと少しのところで、編み目の表裏がおかしくなり、編み直すのが辛いからと目をつむってそのまま続ける。こういうところも治したい性格の一つ。

あと少しのところで、編み目の表裏がおかしくなり、編み直すのが辛いからと目をつむってそのまま続ける。こういうところも治したい性格の一つ。

 

とある日の編み物部の様子。苦しかったけど、編み物部の仲間たちとのおしゃべりに救われ、なんとかやってくることができました。何をするにも仲間は大事!子育ても仕事も自分一人ではできません!

とある日の編み物部の様子。苦しかったけど、編み物部の仲間たちとのおしゃべりに救われ、なんとかやってくることができました。何をするにも仲間は大事!子育ても仕事も自分一人ではできません!

 

単に手芸をするために通いはじめたものの、いろんな世代や環境の人たちとおしゃべりしながら手を動かすことが楽しくて(時にしゃべりすぎて手が止まることも多々あり、「これじゃおしゃべり部だねー」なんて話したり)、産後を楽しく過ごせたのもitokaraさんとそこに集う強力ウーマン達のおかげだったんだなぁ、こういう場所があって本当によかったと心底感謝しています。

 

参加者には同じくらいの月齢の子を持つお母さんもいれば、高校生や中学生の大きなお子さんを持つお母さんに独身の方、経歴や出身も様々。子連れで行ったら迷惑かなとの心配でもありましたが、私と同じように抱っこ紐やおんぶ紐でこどもを連れて編み物をしている方もいましたし、こどもが泣くと誰かしらが抱っこしたりあやしたりしてくださって編み物に専念させてくれたり、たくさん甘えさせてもらいました。

 

「主婦ってかっこいいー!」と思ったのも、イベント終わりに惜しげも無くテキパキ撤収・解散する姉御達を見てのこと。

 

私も強くたくましく生きていきたい、日常の愚痴や疲れを笑いに変えてしまうこの強さとエネルギーとユーモアを持ち続けていたい、そう思いました。

 

itokaraさんの編み物部だけではとても終わらなかった私は、息子と夫が寝静まった夜中、過去の仕事のこと、将来のこと、夫婦のこと、これからの仕事のこと、お金のこと、たくさんの考え事をしながら編み続けました。このカーディガンにはたくさんの思い出や感情や手汗が染み込んでいます。

 

あと少し。寝なければ、と思いつつもあと少しと思うと止まらなくなる。真夜中の編み物は頭の整理にもなってまた格別です。

あと少し。寝なければ、と思いつつもあと少しと思うと止まらなくなる。真夜中の編み物は頭の整理にもなってまた格別です。

 

ところでitokaraさんの場合、いわゆる「編み物教室」ではなく「編み物部」であるのは、部活感覚で自主的にやろうという発想からこう呼ばれているそうです。そのため、手取り足取り先生が教えてくれるわけではなく、みんなでテーブルを囲んで各々が編みたいものを自分のペースで編みます。わからない箇所や不安な箇所は先生に尋ね、教えてもらいますが、決して手は貸してくれません。最初は「え!編み物教室なのにちゃんと教えてくれないなんて。私は教えてほしくてここに来たのに。」と裏切られたような気持ちになり落ち込みましたが、後々「編み物部」のコンセプトを知り納得。そしてこの一見するとゆるいようで実はスパルタなスタイルこそが、根気強く編み物を続けるために必要なことなのかもしれない、と思ったり。

 

1回2時間で500円ポッキリ♡と言うのも主婦にはありがたい設定です(縫い物部、織物部はそれぞれ料金設定が異なります。itokaraさんのwebsiteでご確認ください!)。

 

あからさまな子育て関係の施設に行くのが苦手な人もいますよね。私はどちらかというとそういうタイプです。同じくらいの月齢の子を持つ母親は目の前の子育てに近視眼的になり、なんとなくピリピリしたり警戒したりしている様子も見受けられたりします。でも、ここに集う人々はなんとなくのんびり。それにだいぶ先を進む先輩ママの余裕や何気ない一言が、近視眼的な視線に客観性をもたらしてくれたりします。

 

くだらないおしゃべりの中に真実がある、女のおしゃべりの醍醐味ですね。

 

次は自分のために何か作ってみたいな。

 

*

 

itokara

手芸アトリエ
http://itokara.com

 

甲府市丸の内2-9-8
アキ山ビル1F
055−232−2069
mail@itokara.com


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子どもがいることを受け入れてくれる街、甲府。

すっかり春ですね。

 

小瀬スポーツ公園の桜

小瀬スポーツ公園の桜

 

書きたいことがありすぎて、どこから書こうと迷っているうちに季節は過ぎ、春になってしまいました。

 

さて、私は週6ペースでベビーカーに子供を乗せて甲府の街を練り歩いています。

 

午前中になるべく全ての家事を片付け、午後になったら家を飛び出し、家から半径3km以内を歩きまくっています。

 

同じ道をなるべく通らないようにちょこちょこルートを変えて、日々何か楽しいものはないか、いい物件はないかと、子供の散歩と称してとにかく歩いているのです。

 

道すがら出会う人には必ず挨拶。

 

「こんな寒い日に連れ出して!かわいそうじゃない。」とか、「あら可愛いわねぇ、何ヶ月?大変だけど頑張ってね」とか、様々な叱咤激励を受けたり、ほんの数分の立ち話で「うちにも孫がいたんだけど、裁判でみんな嫁に持ってかれちゃったわよ。懐かしいわねぇ、こんな頃が…。」とディープな人生悲話をしていただいたり、悲喜交々な子連れ道中です。

 

甲府のいろんなところに、いざという時のための「避難所」改め「親戚の家」を勝手に設けさせていただいています。

 

だって、産まれてきた子供を連れて甲府に戻ってきて、思ったのです。

夫以外に頼りはなし。

あれ、昼間の話し相手がいない!

あれ、私は気狂いピエロ?さながら、ひたすら一方的に0歳児に話しかけ、本を読み聞かせまくり、歌いまくり。

それはそれで楽しいのですが、いやしかし、普通の会話もしたいな…。

それに万が一、夫が急死したり、倒れたり、私が何かで悩んでおかしくなったり、子供のことで何かあった時に駆け込んで話ができる場所がないと大変!

 

私は大人だからいくらでもどうにでもできるけど、家にこもっていては子どももかわいそう。

 

とにかくいろんなところに顔を出しておこう、子どもと私の成長をこの街に見守ってもらおう、と心に決めたのでした。

 

何より、子どもにはとにかくたくさんの人や物に触れてほしいという願いもあり。

 

 

そんな私の(心の)親戚の家をご紹介します。

近い親戚から(かなり)遠い親戚まで。

 

六曜館珈琲店本店喫茶ダンといった昔からある街の喫茶店。

 

六曜館珈琲店本店。外観のもじゃ、アンティークランプや時計が並ぶ店内がたまらない。

六曜館珈琲店本店。外観のもじゃ、アンティークランプや時計が並ぶ店内がたまらない。

 

 喫茶ダン。マスターの淹れる珈琲も、奥様手作りのスイーツも、サンドイッチも、どれを取っても絶品。

喫茶ダン。マスターの淹れる珈琲も、奥様手作りのスイーツも、サンドイッチも、どれを取っても絶品。

 

寺崎COFFEEAKITO COFFEEと言った(おそらく)同世代の方々が営むCOFFEE SHOPにコーヒースタンド。

 

赤ちゃん向けのお話会とスペースと素晴らしい蔵書を誇る山梨県立図書館

 

野外彫刻と野良猫も楽しめる芸術の森に位置する山梨県立美術館の展覧会にワークショップ。

 

 同じく芸術の森に位置する山梨県立文学館側から見た山梨県立美術館。

同じく芸術の森に位置する山梨県立文学館側から見た山梨県立美術館。

 

甲府市が主催する「健康談話室(旧称:まちなか健やかサロン)」でのベビーマッサージ教室に歯や食育の教室。

 

AVRILの糸などを取り扱う手芸アトリエ兼ショップのitokaraさんでの編み物部。

 

itokara。店内にはAVRILをはじめとした糸や生地、関連書籍が並ぶ。

itokara。店内にはAVRILをはじめとした糸や生地、関連書籍が並ぶ。

 

文化的スペースの少ない甲府の貴重な存在である海外作家の滞在型交流拠点、AIRY(エアリー)ことArtist In Residence Yamanashi。

 

 AIRYに一年滞在していたJosephine Vejrichの展示風景。

AIRYに一年滞在していたJosephine Vejrichの展示風景。

 

シェフ兼ソムリエのお父様に、パティシエの奥様と娘さん、さらにソムリエ&チーズソムリエの娘さんというスペシャルご家族で経営されている、老舗のレストランボンマルシェ。添加物を一切用いず安心安全、山梨の食材を使用されている、とても素敵なお店。

 

山梨土産を探すのにもってこい、山梨の食材とワインを楽しみたい時にぴったりのD&DEPARTMENT YAMANASHI

 

甲府にもこんなお洒落なセレクトショップが。プレゼント探しはここ。セレオ甲府4階のLicavou

 

ワインはいつもここで買います。蛍光タグの値札がひしめく駅前通りの老舗ワインショップ、ワインズ新富屋

 

ワインズ新富屋。合わせたい料理や用途を言うと、合うワインをいろいろと教えてくださいます。

ワインズ新富屋。合わせたい料理や用途を言うと、合うワインをいろいろと教えてくださいます。

 

500円あれば4つは買える、懐も胃も嬉しい懐かしのパン屋さん、ずんちゃんパン。

 

看板の降りている時のずんちゃんパン。かかりつけの小児科の近くなので、診察帰りに立ち寄って、河原でもぐもぐ。

看板の降りている時のずんちゃんパン。
かかりつけの小児科の近くなので、診察帰りに立ち寄って、河原でもぐもぐ。

 

それぞれのことはまた詳しく書くとして、乳飲み子を抱えた私にもとても親切にしてくださる場所ばかりで、いつもいつもその優しさに感謝することばかりです。

 

特に街の喫茶店では、会うたびに子どもの成長を喜んでくれて可愛がってくださって、気遣ってくださって、時にお互いの子どものことや夫婦のことで話し込んだり、甲府の良いとこ情報を教えてもらったり、「ゆっくりしなさいよ」と抱っこしてくれていたり、ありがたいことばかりです。

 

自分一人だとこんな経験はできなかっただろうなと思い、「子は宝」とはまさにその通りで子どものおかげでこの甲府での暮らしが楽しめているんだなと子どもにも感謝する日々です。

 

「甲府には何もない」なんて言わせないですよ。

 

子育てをしている私は、この街で子育てすることになってよかった、と思っています。

子どもにも、甲府で育ってよかった、と思ってもらいたいです。

 

さて、明日は「鎧をまとったサムライの人数が世界一」にギネス認定もされた、甲府が誇るお祭り「信玄公祭り」。

 

街中に武将が溢れるそうで、ドキドキします。

 

明日もまた甲府の街に繰り出そうではないか。

見かけたら声かけてくださいね。

(甲府の人は内気だから!)


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コラム初回

初めまして。冷たい風の吹く冬、大きくなってきたお腹を抱えて甲府に引っ越してきてから1年ちょっとが過ぎました。当時、既に2年以上甲府で一人暮らしをしていた夫はこの日を楽しみにしていてくれたらしく、部屋がとても綺麗になっていたことを今でも覚えています。その後無事に出産をし、現在は、夫と、もうすぐ9か月になる息子と3人で甲府で暮らしています。

 

山梨県出身でもなく、山梨に縁もゆかりもなかった私たち。ですから、甲府には夫以外に身寄りはなく、残念ながら友達もいなく、知り合いもいない。そんな状況で甲府での暮らしは始まりました。そんな甲府での暮らし、こどもとの暮らしを、気ままにお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願いします!

さて、「甲府」と聞いてもパッと思い浮かべるものがお世辞にも何もなかった私にとって、「甲府」=映画『サウダーヂ』(2011年、富田克也監督)でしかありませんでした。『サウダーヂ』は甲府出身の富田監督による、甲府が舞台の映画。出てくるのは、空洞化した中心街、シャッター街、ブラジル人労働者、鬱屈としたダサい若者たち、タイから出稼ぎに来ている可愛いミャオ(とっても可愛い)。ミャオに惹きこまれていく男。外の世界を知らない井の中の蛙同様の価値観で生きる地元の女達。甲府であって甲府ではないどこかでもある『サウダーヂ』の映し出す甲府は、生々しくリアルな地方都市の現実を描いているとはいえ、さすがにフィクションだもの、とどこかでそうではないだろうと思っていました。

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映画の公開当時、ちょうど当時付き合っていた現在の夫の就職が山梨の甲府に決まり、東京に住んでいた私は「甲府?へー。」とどうしても甲府に興味の持てない遠い思いを抱えていたのですが、『サウダーヂ』という映画が面白いらしい、しかも舞台は甲府らしい、と聞きつけ、ユーロスペースに観に行きました。

 

「ほう、甲府、やばいね。こんな虚しい街に引っ越すのか。でも映画はめちゃめちゃ良かったなぁ。」という具合で、結局甲府への距離感もイメージも湧かないまま、時は過ぎました。

 

その後、何度か甲府に足を運んで、街を歩いていても、困ったことに頭の中には『サウダーヂ』の劇中曲が流れるほど荒んだ気持ちになる。家に帰り、彼にこの街の何もなさを叫ぶほど映画とシンクロして、甲府で暮らすのは精神的に毒なんじゃないかと思ったくらいでした。

 

その後、めでたく結婚したものの、なんとなーく甲府に引っ越すのがやだなぁと一緒に住むのを先延ばし先延ばしにしていました(もちろん仕事の都合もあったのですが)。そんなこんなで入籍してから約1年半以上、別居生活を続けていたのですが、そんなのではいけないと神様が怒ったのか、授かりものがあり、慌てて甲府に引っ越してきたのでした。それが1年前のこと。

 

当時、妊娠6か月ちょっと。仕事の引き継ぎと引っ越しの荷造りに加えて、これまた先延ばしにしていた結婚式の準備などバタバタとやって、忙しいものでした。

 

何もないと思っていた甲府へのイメージが変わったのは、住んでしばらくしてからでした。

それはまたおいおいゆっくり綴っていこうと思います!

 

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引っ越した数日後に食べた山梨県産のルレクチェ。みずみずしくて甘くてこれまでに食べた洋梨の中でいちばん美味しかった!


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