長く愛されるには訳がある
歳を重ねるごとに体の水分が減ってきている。とにかく乾燥する。心身共に潤いが大事だということが身に沁みる今日この頃。夏の終わりから、台所洗剤と空気の乾燥で手荒れがひどくなってしまった。医療費がかかるから薬を塗るのももう嫌だし、洗剤を詰め替えるのも面倒だなということで、シャンプーやボディソープ、台所洗剤などなるべく固形石鹸に変えられるものは無添加の固形石鹸にシフトチェンジしていくことにした。
今は「香害」といって柔軟剤や洗剤の匂いで具合が悪くなったりアレルギーが出る人もいるそうで、私はそこまでではないにしても、柔軟剤の匂いは気持ち悪く感じるものが多いので洗剤も無添加無香料のものを使っている。それでも結構な香が漂っているので、香害アレルギーの人は本当に大変だろうな、と不憫でならない。
固形石鹸はあまり需要がないせいか、売り場の下の隅の方に追いやられていること多々。顔・体用の固形石鹸は意外にもコンビニエンスストアでも売っているけれど、台所用石鹸は甲府でもなかなか探しているものが見つけられずにいた。しかし、さすがの岡島百貨店!岡島のキッチン売り場にてようやく発見。
コストパフォーマンスがいいのかはわからないけれど、袋から出して置くだけなので、とにかく楽で見栄えもスッキリの優れもの。石鹸に慣れると二度と詰め替え用洗剤を買おうとは思わない。
この通り、甲府の中心街でキッチン用品を買うとなると、品揃えが充実していて商品の信頼も置ける岡島百貨店を愛用している。郊外の大型ショッピングモールにもキッチン用品専門店があるけれど、そちらは品数が多すぎて何がなんだか最後にはどうでもよくなって何も買わずに出てきてしまう始末だったので、ほどほどに商品が洗練されている岡島が私にはちょうど良い。
とはいえ、キッチン用品の選択肢があまりにも少ないよなぁと悩んでいたところ、そうだリビングセンターマエダがあるじゃないかと今更ながらに気づいたのでした。
リビングセンターマエダは聞けば創業140年くらいとのことで、最初は木材屋、それから電気冷蔵庫がない時代には氷屋さん、車が一般に普及する前には運送屋をというように時代に沿って変遷していき、その後、現在の雑貨屋の形に落ち着いたとのことです。小売りになっておそらく110年ほど。
お店にはいつもおばあちゃんとそのお孫さんであるマコちゃんがいて、なんとも言えない独特の空気が守られている。マコちゃんは某美大でバリバリ彫刻を彫っていたとは想像もつかないような、おっとりとした少女漫画のキャラクターのような商店街のマドンナ。
そののんびりとした口調からは一見想像もつかないけれど、「まちゼミ」を企画して、商店街を元気付けようと内側から尽力している街の希望、街の遺産でもある(※まちゼミ:得する街のゼミナール略して〝まちゼミ〟 甲府市中⼼商店街のお店の店主が講師となり、プロならではの専⾨的な知識や情報、コツなどを無料で教える少⼈数制のミニ講座です。お店やひとの存在・特徴を知っていただくと共に、お店(店主やスタッフ)とお客様のコミュニケーションの場から、信頼関係を築くことを目的とするコミュニケーション事業です。「甲府まちゼミ」『まちづくり甲府』websiteより引用)。
そんなリビングセンターマエダで探していた固形石鹸を見つけ、しかも安かったので嬉しくて嬉しくて久しぶりにコラムが書きたくなったのでした。
ここには店主推定数万種類の品物が置かれているそう。
しかも、なぜこんなところに?!と目を疑うようなデンマーク製のステンレスポットや卓上セット、デッドストックの昭和レトロ食器に調理器具、新製品に定番品から、一体いつからこの店にいるんだい?と思わず話しかけたくなる懐かしいパッケージデザインの品々まで。
ああ、面白い。
亀の子束子も様々なサイズとバリエーションが並び、爪楊枝と串だけでも何種類もある。何時間でもこの店の商品を眺めていられそう。そしてとびきりの掘り出し物に出逢える、そんな楽しいお店。長く愛されるには訳がある。