【卒業コラム その03】
作る事と、売る事も知り、あとは、実践あるのみ

野菜の収穫が最盛期になるとそれを販売する実習が行われるが農家になるための要素が販売に散りばめられている。生産と販売はかけ離れているように感じるが、これが違う。

 

販売日は予め決められていて、そこに出す野菜を逆算して、いつ種まきするか、何を撒くか、どう育てるかを今までの栽培経験を基に皆で相談し決定していく、より実践に近い内容だ。

 

いくらで販売するか、目玉商品やセット販売の考案、告知はどうするか、目標設定、会場設営、割引券導入、会計方法などなど事前の打ち合わせを重ねて当日に備える。

 

そしてここで社会経験者の集団の英知が結集することを目の当たりにする。

例えばチラシ作りに卓越する人(元デザイナー)、

野菜の出来を判断して価格・規格を決定する人(元直売所運営者)、

販促用の試食を作る人(元調理師)、

全体を把握してデータに落とし全員に情報共有する人(元コンサル)、

会議を上手く進行させる人(元塾講師)、

レシピ考案する人

告知でSNSやラジオを活用する人、

日頃から早朝の栽培管理に勤しむ人、

外野でガヤガヤ騒いでいる人(あ、僕です)。

皆が力を合わせ販売日に備える。

本当に多くのお客様がいらして大盛況。不慣れなこともあり開始直後はカオス状態。

多くの野菜を多くのお客様に買っていただいて、更にその中のお客様が農大に電話して「皆さんが凄く親切で礼儀正しく生き生きして感動した。次回も買いに行く」と10分以上も感謝を伝えてくれたことを知り感動、そしてグッドな売上高に笑顔!

 

時には仲間とバーベキューでお疲れさん会。出てくる野菜は勿論農大生まれ!自分たちで作った野菜が並ぶ。皿に盛られた大量のキュウリを横目に肉と海鮮を交互に食す。

こうやって思い返しながら書いたが、ここに書いたことは、農大での学びや生活のごくごく一部。見えているものはまさに氷山の一角に過ぎない。毎日が新しい事の連続で細かいことを取り上げるときりがないくらい充実した9ヶ月となった。

 

でもこれは経験をしただけかもしれない。経験をしたことと、身に着けたことは別と考えたほうがいい。

ここでの経験を自分のものにするために自分の畑で実感したい。その時初めてものになると思うし、同時に自分の力不足を嫌でも知ることになるだろう。

 

八ヶ岳をバックに一枚。卒業が近づき雰囲気がしっとりしているのは気のせいか。

助け合う人の繋がりを「結」というが農業にぴったりの言葉だと思う。一人では農業は出来ない。農大で出会った人の繋がりと経験が今後の農業ライフの大きな活力となることを確信してここでの青春に幕を下ろします。ありがとうございました。最大の感謝を。