灼熱の鍋(盆地)の底で茹で上げられ、いい感じにボイルされる日々が続いた甲府の夏もひと段落した今日この頃。夏のむせ返る水蒸気に霞み、全く見えなかった山々がクリアに見えるようになると、ほのかに秋の足音を感じます。
先日遊びに来た母の名言。「富士山ってあんなに真っ黒なんだ!」
ええ、真っ黒なんですよ。溶岩の塊ですからね。普段身近に富士山がないと、雪を被ったイメージが抜けないようで。そして
「富士山って雪がなくなるんだ!」
なくならなきゃ登れないでしょアンタ。
以上、ある夏の日の母娘漫才でした。
写真は、近所のJA直売所で買ってきたシャインマスカットとデラウェアと、最近よく行く近所のパン屋さんのおからクッキー。オール山梨産。あ、猫も山梨産でした。
シャインマスカットは350円。デラウェアも4房350円。高級ぶどうで有名なシャインマスカットは、都内だと2,000円ぐらいで売ってるのをよく見かけますが、こっちだと(運が良ければ)このお値段。それでも高く感じるのは、果物デフレな山梨ならでは。
ぶどうではデラウェアが一番好きなんですが、デラウェアがスナック菓子を買う感覚で手に入るので、毎年貪るように食べてます。
さて、全然コラムを更新しないくせに告知ばっかりして、まるで告知掲示板のようになっており大変恐縮ではありますが、東京の移住相談セミナーに出演するのでお知らせです。
『オール山梨移住セミナー&相談会』
9月8日(土)11:00-17:00
東京交通会館(有楽町駅スグ)12階 カトレアサロン
入場無料・入退出自由
http://www.yamanashi-kankou.jp/yamanashikurashi/seminar/20170723.html
11:30~のセミナーにてトーク、その後は中北地域ブースにて個別の相談対応に参加します。イベント中は常駐する予定ですので、お気軽に足を運んでいただけたら嬉しいです!
なお、聞き慣れない方もいると思いますが、中北地域とは、甲府市、甲斐市、韮崎市、北杜市、南アルプス市、中央市、昭和町(順不同)のことです。ほかに峡南地域、峡東地域、富士・東部地域があり、県内を大きく4つの圏域に分けています。中北地域は、山梨北西エリアの、特に山の多い地域!
当日はセミナーやトークショーのほか、各市町村をはじめとした相談ブースがたくさんならび、各ブースではやまなしの美味しいものプレゼントも(先着順)。
年に一度の山梨県全域の大きな移住相談イベントです。移住を迷っている方は、この機会に是非お越しください!コラム読者さん(なんて本当にいるのか?)にもお会いできるのを楽しみにしています。
5月といえば麗しき新緑の季節。だというのに、甲府はさっそく30度超えの真夏日が続き、あっつい!あっつい!と1人で連呼しながら日々を過ごしております。口に出しても涼しくなるもんでもないですが、まあほんのちょっぴり気分がスカッとする気がします。99.9%気のせいですけども。
かと思えば寒波到来で、山には再び雪が降り積もりました。でもやっぱり今年の冬は雪が少なく、周囲の山の雪解けのペースもかなり早いように感じます。
そんな、山々の白い頂から涼しい視線を送られつつ、熱風吹き荒れる盆地より愛を込めて、皆さまいかがお過ごしですか。
既にみやこさんが告知されてますが、私のほうからもダメ押し告知です 笑
今度の土曜日の5月26日、『移住コラム女子 春の蔵出しワイン会』開催いたします。
山梨県民ならTVCMでもおなじみ、甲府駅北口で開催されるイベント『春の蔵出しワインバー』。その会場に私たち移住コラム女子(みやこさん、はるひちゃん、春水ちゃん、アンドわたくし)とこうふコンシェルジュの成澤治子さんが集結。適当にワイワイやってますので、会いたい方やお話したい方、単に一緒に飲みたい方から既にお知り合いな方も、是非是非遊びに来てください! っていう企画です。
「女子」とついてますがこれはホスト側のことなので、男性ももちろん大歓迎です。老若男女お気軽にどうぞ!
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■日時:2018年5月26日(土)17:00~
■場所:甲府駅北口よっちゃばれ広場 春の蔵出しワインバー会場
特設ステージ向かって左奥の、藤村記念館近くのテーブル(目印の旗あり)
■参加費:各自支払い
スタートセット700円+グラスデポジット1,000円+飲食券(飲み食いするぶん)
※グラスデポジットはお帰りの際に返却されます
※前売り券1,500円(スタートセット700円+飲食券1,100円分)を買うと300円お得です
■参加申込み期限:
5月24日(木)まで(当日いきなり来てもOK)
※ただし事前に参加人数をお伝えいただけると、お席を確保できるので確実です
■参加申込み先:
こうふコンシェルジュ 成澤治子さんまで
https://kofu-iju.com/contact
FacebookページからでもOK
春の蔵出しワインバー公式サイト:http://sannichiybs.info/wine/yamanashi/
会場では、↓のような目印の旗をテーブルに立てています。目印にしてください!
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移住コラム女子、それぞれは面識があるものの、4人集まるのは実は初めてなのでとても楽しみです。そしていったい何人の方々がいらっしゃるのか、今からドキドキです。既に数名、参加表明をいただいていたり。みんなでワイワイ楽しく飲めるといいですね!
ちなみにワタクシ、お酒は大大大好きですが、ワインを飲みすぎると結構な勢いで酔っぱらいます。当日はヘ○リーゼを完備して、潰れないようくれぐれも気をつける所存です!
甲府から登れる山をざっくりご紹介シリーズ。
今回ご紹介する奥秩父連峰(おくちちぶれんぽう)は、登山をしない方にはちょっと聞き慣れない単語かもしれません。甲府盆地の北側から群馬県、埼玉県にかけてまたがる山域を、そう呼びます。
○○アルプスや八ヶ岳に比べると少し地味な印象ですが、気軽に登れる里山から本格的な2,000m峰まで、山深い豊かな自然を抱いた魅力溢れる山域です。
登山好きのバイブル、深田久弥著「日本百名山」に名を連ねる山もたくさんあり、都心から近いことからも、一年中ハイカーが訪れる地でもあります。
今回はその中でも、山梨にある代表的な山をご紹介。
低い山ならそろそろ(4月以降~)雪もなくなり、登れるようになってきます。ただしまだまだ高い山は雪山です。天候や登山道の状況をよく確かめてから登るようにしてください。
■金峰山(きんぷさん)/ 2,599m
甲府市北端にある、別名「甲州御岳山」。って初めて知りました。日本百名山。山梨百名山。甲府市最高峰。うちの裏にある金運パワースポット金櫻神社の御神体。昇仙峡のパワースポットの源(って昇仙峡にポスター貼ってある)。
後半ちょっと胡散臭い響きが充満しちゃいましたが、甲府市に住むなら一度は登れ!な甲府を代表する山であります。
山頂には五丈岩(ごじょういわ)と呼ばれる巨岩が積み重なった異様な岩塊があり、これが金櫻神社の御神体となっています。五丈岩に登っている人も多々いますが、自分はバチが当たって金運が根こそぎ枯渇したら嫌なので自粛。ちなみに登るのはそれなりに難易度が高いので、ボルダリング等経験者でないと難しいかも。
瑞牆山荘側から富士見平を経て登るルートと、大弛峠から登るルートのふたつが一般的。
瑞牆山荘側からだとそれなりの体力が必要ですが、砂払ノ頭からの稜線歩きが素晴らしいのでこちらのほうがオススメ。途中若干高度感があり危ない箇所があるので、そこだけ要注意。
大弛峠側からは短時間で登れるのがメリットですが、駐車場は混んでそうだし道はつまんなそうだしで、自分は登ったことがありません…。体力ないけど甲府最高峰だけは登っておきたいんだ!という方にはアリかも。
瑞牆山荘側からの道中に鎮座する大日岩によじ登れば、絶景のコーヒータイムを独り占め!ただし岩登りが苦手な方はご遠慮ください。
■瑞牆山(みずがきやま)/ 2,230m
金峰山の隣にあり、遠目からも目を引く異様な岩峰の連なりが瑞牆山。標高は低めながらも岩場鎖場のプチスリルが味わえ、そのわりに短時間(通常で6時間前後)で登れることから、シーズンの休日はハイカーが殺到する人気の山。日本百名山で山梨百名山。スリリングとはいえ地元の小学生も登るような山なので、初心者にもオススメです。
山頂手前には大ヤスリ岩と呼ばれる巨岩がそびえ立ち、周囲もクライミングスポットの宝庫。金峰山も含めたこのあたりの山域は、花崗岩の白い岩肌の情景が美しく、岩好きにはたまりません。
先ほどの金峰山と同様、瑞牆山荘から富士見平を経て登るルートが主流。他にもみずがき山自然公園やその近辺の駐車場から周回して登ることもできます。
富士見平の小屋に泊まったりテントを張って、一泊二日で金峰山とセットで登るのも人気。
■乾徳山(けんとくさん)/ 2,031m
甲府市から北東、山梨市北部にある岩の山。
道中の国師ヶ原という原っぱに月見岩(つきみいわ)というボルダリングに最適な巨岩、山頂直下に鳳岩(おおとりいわ)という約20mのスラブ(一枚岩)があり、他にもカミナリ岩やら髭剃岩やら胎内岩など、ユニークな岩が目白押し。鳳岩は初心者にはちょっと難しい難易度ですが、迂回路もあるので安心です。
徳和の乾徳山登山口バス停 or その近くの駐車場から登るのが一般的。標高は低めですが意外と距離があり、体力にある程度自信がある人向け。
日本二百名山、山梨百名山。
昨年2017年12月にNHK BSで放映された「にっぽん百名山・乾徳山」の、番組冒頭と最後でクライミングしてたパーティのうちひとりは私です。笑
たまたま登った日に撮影していて、激写されました。思わぬNHKデビューを飾った、感慨深い山でもあります。笑
■甲武信ヶ岳(こぶしがだけ)/ 2,475m
乾徳山の奥にそびえる、奥秩父連峰の中央に位置する山。山梨県、長野県、埼玉県の3県の境目でもあります。
山梨側からは西沢渓谷(後述)から登るルートがありますが、一般的には日帰りが厳しいコースタイムなのでハードルが高め。長野県の毛木平からも登れますが、こちらもかなり健脚向け。どちらにせよ体力に自信のある方、もしくは一泊前提で登る必要があるため、それなりの覚悟が必要です。
日本百名山、山梨百名山。
■大菩薩嶺(だいぼさつれい)/ 2,057m
甲府市の東、温泉やワインで有名な甲州市塩山の近くから登れる山。
上日川峠(かみひかわとうげ)から登れば、短時間(通常5時間程度)で周回でき、雄大な稜線からは富士山や南アルプスの眺めを満喫できるため、シーズン中の週末は人が殺到する大人気の山。高尾山や奥多摩、丹沢の低山に登ったら、次はここで稜線歩きに慣らす、というのが都心のハイカーにはよくあるパターン(だと勝手に妄想)。
上日川峠までの道は冬期閉鎖するので、秋~春に登る場合は要下調べを。
中里介山の小説「大菩薩峠」のタイトルになったり、60年代に赤軍派が立てこもる「大菩薩峠事件」の舞台になったりと、いろいろいわくのある山。
■雲取山(くもとりやま)/ 2,017m
東京都の山というイメージが強いですが、実は山梨県にもまたがってます。東京、山梨、埼玉の境界に位置する山。東京都最高峰。
標高2,017mということで、昨年2017年にはインスタ映えを狙った人々が殺到する事態となりました。というのは冗談ですが、人が殺到したのは本当です。そのぶん今年はきっと落ち着いているので、狙い目です。
ルートはいろいろありますが、山梨側からは丹波山村の、鴨沢から登るのが一番ポピュラー。健脚でないと日帰りは厳しい距離なので、通常は一泊で登ることをオススメします。
日本百名山、山梨百名山。
■西沢渓谷(にしざわけいこく)
前述の甲武信ヶ岳の麓にある、山梨の観光スポットの一翼を担うほど大人気の渓谷。特に紅葉シーズンの週末は、某夢の国に匹敵するレベルで人が殺到するという噂。混雑が嫌な場合は、平日だったり紅葉を外した時期が狙い目です。新緑だって綺麗ですよ。
渓谷ハイキングとはいえ、一般的に5時間程度、それなりにアップダウンがあるルートなので、歩きごたえは十分。あまり緩い格好で行くと痛い目を見そうです。滑落事故の話もときどき聞くので、くれぐれもそれなりの覚悟と装備で行くようお願いします。
奥秩父連峰は、○○アルプスや八ヶ岳より身近で気軽に登れる山が多いのが魅力。これからの時期、一足早く雪が溶けて登れるようになるのもこのあたりです。とはいえ油断は禁物、行く前にはしっかり準備や下調べをして登るようにしてください。
次回は更に細かい山々をご紹介する予定です!
3月に入り暖かくなってきた近頃。この時期の甲府は、昼間は太陽ギラギラで汗ばむ陽気、日が暮れたとたん冷え込んで風ピューピュー。寒暖の差がますます激しくなってくる季節です。
もうそれは慣れたんでいいんですけど、花粉でいろんなとこがむず痒いのがツライ。でも東京にいた頃に比べたら、山梨のほうが症状が軽い気がする。空気がきれいだからかな。
今回はちょっとしたお知らせです。
Instagramはじめました。
はじめました、って、アカウント自体は少し前から持ってたんですが、ロクに更新することも見ることもしてませんでした。それが最近使い方を教えてもらう機会があったりして(おじいちゃんか!)、ちょっと真面目に更新してみようかなと思うに至ったのでした。
内容は、このコラムの延長みたいなかんじで、山とか、猫とか、仕事とか、甲府暮らしのいろいろを、コラムよりも些細な日常からの視点でお届けできたらと思います。
コラムに書くほどじゃない、ちょっとした甲府の魅力なんかも載せられたらいいなと思うので、移住を考えている方の参考にもなれたら嬉しいです。
もっとも、かなり飽き性な自分なので、突然面倒くさくなって放置する可能性はゼロとは言えませんが、モチベーションが続くかぎり、続けるつもりです!
アカウントはこちらです↓ フォローはお気軽にどうぞ。
■Ai Matsushita (@aimatsushimo)
https://www.instagram.com/aimatsushimo/
甲府の冬は、寒いです。
1年前、移住して初めて迎えた冬の寒さには、東京(や神奈川)がいかに温暖な地であるか、とことん思い知らされました。それまで住んでいたのだって、都心に比べたら少々寒いエリアではあったのですが。
北杜市は、長野にも山にも近いので寒いのは当たり前です。富士吉田市や富士河口湖町は、富士山麓の冷気が溜まるので見た目以上に寒冷な地です。なら甲府市は、都会だからあったかいんじゃね?
なーんて思ってるそこのあなた。甲府の寒さをナメたら駅前の信玄公がビンタしますよ。
以下は、昨年、私が寒さに耐えかねて行った対策です。
・人生初石油ファンヒーターを導入(エアコンは乾燥が苦手で昔から使っていなかった)
・ユニクロの極暖ヒートテックをまとめ買い(横浜の頃は暑くて着れなかった)
・ユニクロその他の裏起毛暖パンツをまとめ買い(横浜の頃は蒸れて着れなかった)
・人生初モコモコブーツを導入(内側にモコモコがついている靴は初めて)
・モコモコスリッパを導入(今まではつま先の開いたスリッパ)
・布団の敷きパッドにニ○リのNウォームを導入
・人生初湯たんぽを導入(レンジでチンするタイプのもの。便利!)
・窓に断熱プチプチを貼ろうとして、窓が対応していないことに愕然とする
それと、当然ですが、燃料光熱費もなかなかのお値段に。
ピークの時期で、ガス代は月約1万2000円、灯油代は月約5000円。山梨県は甲府駅周辺を除いて大半がプロパンなため、ガス代はちょっと割高なようです。これはあくまで我が家の金額なので、家の断熱性や湯沸かし器の性能などで前後するとは思います。
この、寒さで増大するコストについては、移住最大の盲点でした。これから移住を考えている方は、くれぐれもお忘れなきようご注意を。
前置きが長くなりましたが、先日の2018年1月22日。4年ぶりの大雪だかで、都心でも20cm雪が積もりました。大騒ぎのTVを横目に、甲府にも初雪が降り積もりました。その量、5cm。親と写真を送り合っていたんですが、明らかに横浜の実家のほうが積もってるってナニコレ。
というかんじで、甲府は雪は意外と積もりません。昨冬も積雪したのは2回ほど。どちらもうっすら積もる程度で、すぐ溶けた記憶があります。
とはいえ2014年には山梨県全域で1m以上積雪し、記録的な大災害になりました。当時は陸の孤島になるエリアが出たり、車庫の屋根は抜け落ちるわ窓ガラスは割れるわ食料はなくなるわで、相当なひどい状況だったと聞きます。また、雪は積もらなくとも気温は低く霜や凍結は日常茶飯事です。あくまで油断は禁物です。
雪の降った翌日の1月23日。甲府の雪景色を満喫する数少ない機会を狙って、裏山エリアに偵察に行ってみることにしました。
裏山エリアというのは昇仙峡~茅ヶ岳などの甲府市北部の一帯で、我が家から市街地を通らず30分以内で行けるため、すっぴんパジャマでも行けるエリアとして普段から慣れ親しみ敬意をもって裏山と呼ばせていただいております。裏山ってドラえもんで出てきた頃から憧れでした。裏山が叶う街、それが甲府!
まずはお隣甲斐市の敷島を抜けて、太刀岡山(たちおかやま)の登山口まで行ってみます。登山口には車を停めるのにちょうどいい駐車場があって、太刀岡山名物の鋏岩(はさみいわ)という大岩を真下から眺めることができます。雪化粧された鋏岩…想像するだけでかっこ良さそう。これは見ておかなければ、後悔する!
太刀岡山を下から眺めて満喫したら、寄り道しつつ金櫻(かなざくら)神社へ。
金櫻神社は、甲府で一番好きな神社です。甲府市北端に位置する日本百名山、金峰山(きんぷさん)をご神体とする神社で、山に縁があり、金運のパワースポットで有名となれば、通わざるを得ません。日光東照宮を彷彿とさせる本殿のキンキラキン具合も非常にツボです。春に咲く鬱金桜は薄黄緑色の花が美しく、一見の価値ありです。
到着するとショベルカーで除雪の真っ最中でしたが、金櫻神社の赤い神殿に雪が積もった様子は幻想的で想像通り。除雪の邪魔にならないようそそくさと参拝し、そそくさと雪の社殿を堪能。初詣でおみくじを引いたら末吉だったことに凹んだ思い出は、もう忘れようと思います。
お次は昇仙峡の予定でしたが、せっかくなので荒川ダムにも立ち寄ってみることに。
三色餅の美味しい大黒屋さんの向かい、普段は賑わう荒川ダムも、どんよりとした空の下雪を被っていつもより厳かな佇まい。人っ子一人いない山奥に興奮する変態ソロハイカーなので、誰もいないダムももちろん堪りません。パシャパシャ写真を撮ってる横で、県(?)の職員の方が雪かきしてくださってたのがなんか申し訳なかったです。
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荒川ダム360° その1(駐車場の東屋付近から)
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荒川ダム360° その2(ダム中央付近から)
そしていよいよ、本日のメインディッシュ、昇仙峡へ。
紅葉などのシーズンは観光客で溢れる甲府随一の観光地ですが、積雪+平日+曇っててクッソ寒い の3コンボが達成されれば、誰一人いるはずがありません。予想通りの閑散具合にニヤニヤしつつ、スタックを心配しながら雪に突っ込むように車を停め、仙娥滝(せんがだき)へ。
いつもより水量が多く、激しく落ちる滝と雪のコラボを眺めたら、遊歩道を覚円峰(かくえんぼう)~天狗岩方面へ。仙娥滝まで下る長い階段は除雪されていましたが、その先は無除雪。積雪は20cmほどでしょうか。雪を踏みしめながら歩くのはやっぱり楽しいです。
昇仙峡のパンフレットやポスターに必ず写っている覚円峰。その上で覚円禅師が修行されたのが名前の由来だとか。確かに上に乗ったらかなりのスリルにメンタルが鍛えられそうです。
石門をくぐって雪に埋もれた夢の松島はスルー、天狗岩の見える茶屋のあたりまで来たら引き返すのが、自分のだいたいお決まりのパターン。羅漢寺山に登ったときはそのまま長瀞橋まで歩きますが、そのコースについてはまたいずれ。
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昇仙峡360°(覚円峰の真下から)
昇仙峡の巨岩群と雪のコラボは絶対マッチすると踏んで来てみたわけですが、勘は的中。もう見飽きたと思っていた景色でしたが、季節が変わればまた新鮮な見方で楽しめるものです。なにより車で30分もかからず、こんなところにふらっと来れちゃうなんてワンダホーです。
この日は寄りませんでしたが、帰りに温泉に寄って帰ることも可能です。山宮温泉や紅椿の湯など、帰り道にいくつも温泉があるので選び放題。双葉IC方面に行くなら湯めみの丘もおすすめです。
これを書いている今、今度は未曾有の寒波で甲府もマイナス11度だとかいうとんでもない予報が出ています。初めての冬を越えて、かなり寒さに強くなった自信がありますが、マイナス11度にはさすがに勝てません。だけどこのピリピリした寒さが、近頃なんだかクセになってきたような気もするのです。
みなさまご無沙汰しております。
夏山シーズンという、年に一度の高山登ってテント張りまくってワッショイ月間にうつつを抜かし、すっかりコラムの更新をサボってしまっておりました。気がつけば秋。甲府のクソ暑い…おっと失礼、非常に大変尋常じゃなく暑い夏もようやく終わり、年間で貴重な過ごしやすい時期を迎えています。
ここのところ激太りしたため、ランニングを始めました。
うちの近くには荒川という甲府市随一のぶっとい川が流れており、家から徒歩数分で河川敷に出ることができます。河川敷は広々と整備されていて、犬の散歩やウォーキングをしている方がちらほらと、のどかでいい雰囲気。ランニングにはうってつけです。
横浜にいた頃もランニングはしていたのですが、昨年移住してきてからはなんだかんだサポっていて、甲府で走るのはこれが初めて。それがまあ、なんとも気持ちいいのです。
横浜では夜な夜な住宅街を走っていました。今は、朝の河川敷です。それだけでも爽快なのに、天気が良ければ視界にはエブリタイム富士山 or 南アルプス!アーンドときどき茅ヶ岳。
気軽な朝のランニングですら、こんなに見事な富士山を拝みながら走れてしまうなんて…!そんでもってUターンしたら甲斐駒ケ岳と鳳凰三山と農鳥岳ですよ。もー、なにこれ贅沢!と心の中でニヤつきながら、今日も走ってます。
そんなわけで、今回は山ネタからちょっと離れて、独身一人暮らしフリーランスな私の日常について、触れてみようと思います。
まず、仕事ですが、メインはCGを中心とした映像制作です。これは自宅PCで全て行っています。
私の場合は大半の案件を東京の友人会社から受けているので、打ち合わせなどはSkypeや電話で済ませることがほとんどです。納品もネット経由でデータを送って完了。稀に東京まで打ち合わせに出向くこともありますが、ほぼほぼ自宅で全て完了できています。横浜にいた頃からこんなスタイルなのですが、親しい取引先ならではの融通の効き方だと思うので、大変ありがたいことです。
全てのやりとりにネット必須なので、ネット回線は命綱。特に映像はデータのやりとりが膨大なサイズになるため、速い回線が必要不可欠です。そこで引っ越しの際フレッツ光のギガプランを契約し、光ファイバーの工事をしてもらいました。
東京近郊ではマンションに既に光回線が引かれていたり、通信会社もよりどりみどりだったりしますが、山梨ではまだまだ普及していません。我が家も今まで使っていたauひかりなどは対応外で、フレッツ光一択でした。それでも全く未対応だったら移住できていないレベルの話なので、心底助かりました。
通信関連の話でもうひとつ付け加えると、山梨はケーブルTVが主流です。というか、ケーブルTVと契約しないと大半の民放が観れないらしい…。山に囲まれて、電波が届かないのが理由だとかなんとか。
私のように賃貸マンションであれば、家賃にケーブルTVの料金が含まれているため、特に気にすることなく今までのような感覚でTVを観ることができます。が、持ち家の場合は、契約して工事して、月々数千円の料金を支払う必要があります。TVを観るためだけに、毎月数千円払う。ちょっと衝撃です。もちろんNHKやBS料金は別なんですよ…。
これを理由に、ケーブルTVに契約せずTVなしの生活を選択した知人もいるぐらいで、初めて知ったときはかなり驚きました。
仕事の話に戻して、私はもうひとつ、東京で週一で高校の講師をしています。
週一と言っても高校だと春夏冬休みに加えてテスト休みなど、休みも多いので、年間を通して25日前後ほどでしょうか。
甲府~東京間は比較的気軽に通える距離とはいえ、頻繁に行き来するとなると交通費もバカになりません。ありがたいことに交通費は支給されているのですが、特急券代は出ないので、上手いやりくりが必要となります。
まず、東京で他の用事があるときはなるべくまとめて済ませるようにして、何日か滞在するときは実家に泊まっています。東京近郊に実家がある特権ですね。実家が引っ越してしまったら…困るとしか言いようがありません。
その場合車で行くのですが、うちからの本来の最寄りICは甲府昭和か双葉です。しかし高速代をケチって勝沼までは下道で行きます。これは甲府市民にとっては結構常識らしいです。中央道って、甲府盆地を大きくU字型に迂回するので、東京方面に行く場合ちょっと遠回りなんですよね。
ここで活躍するのが国道20号という、4車線道路です。東京に近付くと甲州街道と呼ばれるアレです。都民は甲州街道と呼びますが、山梨で甲州街道と呼んでいるのを聞いたことがありません。
この20号、信号もあるし至って普通の一般道なんですが、みんなかっ飛ばすため、国母周辺の渋滞エリア以外は高速並みにスイスイで移動することができます。初めて乗ったときは結構怖かったですが、すぐ慣れました。山梨県の主要なバイパスの筆頭です。
ちなみに山梨県民は総じて運転がかっ飛ばし気味で、極細の道を躊躇なく走る姿に最初恐れおののきましたが、すぐ慣れました。
日帰りで東京に行く際は、電車とバスを組み合わせています。
行きは時間に正確な電車で。特急かいじで甲府から新宿まで、1時間40分ほどです。特急電車は他にあずさやスーパーあずさもあり、スーパーあずさだとかいじより10分ほど速いです。
が、山梨始発のかいじに比べ、長野発のあずさは混んでいるうえ、車両もかいじより狭くてボロ…古びた印象。更に大問題なのが、振り子式とかいう特殊なつくりのせいで、もの凄く乗り物酔いすること。生まれて初めて電車で酔ったのは、忘れもしないスーパーあずさでした。どうもありがとうございました、二度と乗りません。(トラウマです)
新宿まで特急を使うと、通常なら4,000円前後かかります。しかしこれを、回数券や他のどの割引より安く乗る方法があります。とか書くと怪しいサイトみたいですが、私がいつも利用しているのはJR東日本のサイト「えきねっと」から購入できる「トクだ値」という切符です。
■えきねっとトクだ値|えきねっと(JR東日本)
えきねっとの無料会員に登録して、ネットから予約することで最大35%引きで指定席特急券を買うことができます。時期によって変動しますが甲府~新宿で2,500円前後で、通常より1,500円ほどお安くなるため、かなりお得です。
デメリットは、席数が決まっているので早めに予約する必要があるのと、キャンセルに310円かかるところです。
帰りは時間に余裕があるので、高速バスを使って節約しています。
甲府~新宿で2時間10分ほど。電車よりは時間がかかり、車内も狭いので疲れますが、そのぶんお値段もお手頃。平日限定の2枚つづり回数券「トクワリきっぷ」というのを使えば、平日のみとはいえ片道1,500円です。これは安い。バスも30分に1本ペースで出ており、使い勝手が良いです。
■トクワリきっぷ – 山梨交通
私の場合は、バスもネットで予約しています。使っているのはハイウェイバスドットコムというサイトで、ここに登録すると発車30分前までは自由に予約や変更、キャンセルができ便利です。
トクワリきっぷを使う場合は予約だけサイト上で済ませ、乗り場に行ってからトクワリきっぷを買うなり提示するなりして乗車の受付をする流れになります。
バスでスマホを見たり読書すると酔ってしまう体質なので、2時間以上寝てるしかないのは結構苦痛なのですが、それを差し引いてもこのお値段は魅力的です。バスタイムをできる限り快適にしたくて、首にネックピローが仕込まれたパーカーを買ってしまいました…節約してる意味ないじゃん…。
家から甲府駅までは車です。東京に行くときは、駅のそばの24時間700円の駐車場にいつも停めています。駐車場は、南口より北口のほうが相場が安いよう。
甲府から東京はアクセスもよく、日帰りでも行き来できますが、とはいえ東京近郊に住んでいた頃に比べたら当たり前ですが時間も交通費もかかります。特に私は仕事で定期的に通うため、なるべくラクに、安く行ける方法を最初にガッツリ模索して、今のスタイルに落ち着きました。
逆に定期的に東京に出ることのメリットもあって、服などは東京で買うことがほとんどですし、その他甲府でできない買い物も東京に行ったついでに済ませることができます。見たい美術展があれば気軽に行けるし、東京の友人と会う約束をするにもあまり不自由を感じません。ただし、甲府駅から家までは車になるので、飲む場合は実家に泊まります。
新宿の雑踏で疲れ果て、ちょっと寒くて人もまばらな甲府駅前に降り立つと、あー、帰ってきたー!と癒やされます。この絶妙な距離感、イイ。
車の運転が好きなので、仕事が空いたときは気分転換にドライブへ。昼過ぎに出発しても、1時間も走れば富士五湖や八ヶ岳山麓に到着です。緑豊かな混雑とは無縁の道を気ままに走って、河口湖のほとりでボケーっとして、富士浅間神社なんかに立ち寄って、夜景を見ながら峠を越えて甲府盆地に帰ります。これで半日。東京に住んでいたら到底不可能な、最高のリフレッシュです。
徹夜明けには近所の温泉へ。今日はあの温泉に行く!をモチベーションに仕事を終わらせて、夜景を見ながらのんびり温泉に浸かれば、次の仕事へのエネルギーも充電完了。
こんな好き勝手やりたい放題できるのも、独身ならではかもしれない、とときどき思います。移住と聞くと、どうしても夫婦やファミリーが多い印象で、独身にはハードルが高そうなイメージもあります。でも、上手く楽しみを発見できれば、意外とそれ以上に充実できるのかもしれません。そんなやりたい放題山梨ライフ、まだまだ満喫し足りません!
<登山データ>
登山日:2012年7月22日(日)~23日(月)
天気:1日目:曇り、2日目:晴れのち曇り
標高差:1,396m
富士山に初めて登ったのは、今から5年前の2012年の7月でした。
そもそも山登りを始めたきっかけは父で、父はガツガツと日本アルプス等に登るほどではありませんが、八ヶ岳に登ったり、何度か富士山に登頂したりしていました。そんな父の誘いで、年に1、2回ほどのペースで箱根などの低山を登るようになってしばらくしたあと、富士山に行こうという話になりました。
当時の私は山の経験こそ少ないものの、ランニングなどをしていて体力にはそこそこ自信があったので、即OKしました。正直そこまで富士山に興味はなかったのですが、チベットにいつか行きたいと思っていたので、高山病の傾向があるか調べたかったのが一番の動機です。日本一の山に登らせていただくというのに、我ながら大変不純です。
どういう意味か解説すると、チベットは標高が5,000mほどあり、もし高山病になったら帰国するまで苦しむことになります。日本で高山病の気があるかチェックできるのは、標高3,776mある富士山だけです。(注:なりやすい人は3,000m程度でも発症します)
高山病は、その名のとおり高所に行くことで、空気が薄くなることから発症する症状です。主に頭痛や吐き気、めまいなどを引き起こします。高山病になるかどうかは体質に大きく関わると言われていて、もしなってしまった場合、治療の方法は下山する以外ありません。心配なら予防策として酸素を持っていくのもありです。
父はこれまで何度か登った経験から、以下のようなプランを打ち出しました。
1日目:遅めの時間に富士宮口5合目からスタート、6合目の山小屋に宿泊
2日目:夜中のうちに山小屋を出発、午前中に山頂に着き、そのまま下山
※登る日は平日、山開き直後の梅雨明け前後で、最盛シーズンを外した時期
先に言うと、これは素晴らしいプランでした。登山口が静岡県側なので、甲府コラムなのに怒られそうですが。笑
夏の富士山は、とにかく凄い数の人が押し寄せて、シャレにならない混雑具合に見舞われます。まだ世界遺産に認定されていないこの頃でも、混雑は混雑です。(今のほうがもっとひどいでしょうけど)
富士山の一番人気は山梨県側の吉田ルート。まずそれを回避して、最短コースの富士宮ルートに設定。
また、ほとんどの人は山頂でのご来光目的のため、1日目は8合目か9合目あたりに宿泊します。2日目暗いうちに登りだし、山頂で日の出を見るわけです。そのため、上のほうの山小屋は1枚の布団に3人で寝るような惨劇に耐えなければいけません。
それを避けるため敢えて下のほうの6合目で泊まることにしました。ご来光は拝めませんが、私も父もご来光に興味がなかったため問題なし。
登る時期も山開き直後の梅雨が明けきる前後にして、なるべく人の少ない時期を狙いました。
1日目。のんびり電車やバスを乗り継いで、夕方近く富士宮口五合目に到着します。急速に高所に上がってきているので、30分ほど五合目に滞在して高度慣れします。高山に慣れていない人は高山病予防のためにも、なるべく行うことをおすすめします。
30分も歩かず6合目にある山小屋へ。ここで今夜は宿泊します。上は雨だったようで、下山してくる人たちがみんなレインウェアを着てぐったりした顔をしていたのが印象的でした。
夕食は富士山の山小屋の定番、具の少ないカレー。それでも8合目や9合目に比べると具が多いとは父の弁。なんであれ、山で食べるごはんは地上の5割増で美味しい。
目論見どおり、6合目で泊まる人は少ないらしく小屋はガラガラ。2人ずつ仕切られた半個室のようなスペースでしっかり休むことができました。
翌朝、暗いうちにヘッドランプをつけて歩き出します。途中で朝日が昇ります。前日とはうって変わって、空は快晴、眼下に広がる雲海のスケールが凄まじい。
新七合目、元祖七合目、八合目、九合目、九合五勺と登っていきます。なんで七合目がふたつあるのか、そして九合五勺って要るのか。いろいろ疑問ですが黙っておきます。
○合目ごとに小屋がありトイレにも行けて、数珠つなぎというほどではないですが早朝にも関わらずたくさんの人が登っている。こんな山は富士山だけでしょう。
あと景色がずっとおんなじ。ひたすらロープの張られた火山性のザレ場(細かい石と砂に覆われたザラザラして滑りやすい登山道)を九十九折に登っていくだけ…。登山好きの人間に、富士山好きがほぼ皆無な理由です。え、私?せっかく山梨に住んだので、もっと人が少なければトレーニングでまた登ってもいいかな程度です。でもマイカー規制が面倒くさいし、何より自分のペースで歩けなさそうなので、残念ながら実現の目処はたっていません。
父に合わせたゆっくりめなペースで歩いたおかげか、息切れひとつせず山頂に到着。高山病もないどころか、空気が薄い感覚すらわかりません。高所に強いという発見ができたのが、この日一番の収穫です。
ちなみに父も1ミリも高山病にならないので、きっと遺伝なんだと思います。
浅間大社奥宮にお参りしたり、山頂郵便局でハガキを出したり(ここでしか押してもらえない消印がつきます)、登頂証明書をもらったりして堪能したら、最高所、剣ヶ峰を目指します。
馬ノ背と呼ばれる、急でズルズル滑る斜面を登り剣ヶ峰に無事立ったあとは、お鉢めぐりです。
富士山はその形からもわかるように、山頂には広大な火口があり、その周りをまわる「お鉢めぐり」だけで1時間半ほど要します。その途中に最高所の剣ヶ峰があり、そこに立たないと本当に富士山の山頂を踏んだことにはなりません。山梨県側の吉田口から登頂すると、剣ヶ峰はほぼ反対側にあるため、必然的にお鉢めぐりをすることになるので所要時間には要注意です。
道中でショッキングな光景を見ました。ロープが張られて立入禁止になった向こう、斜面の下のほうに、山のようなゴミが堆積していました。空き缶やペットボトル、カップ麺の容器など。
翌年、世界遺産認定の際、富士山の汚さが話題になりましたが、あのニュースを見てもこの光景を思い出して、ただ納得しただけでした。
山ではいくつかルールがあります。ゴミは持ち帰る、花や植物をとらない(とっていいのは写真だけ)、登山道の外には踏み入らない、などなど。
特にゴミを持ち帰るというのは、山以前の一般常識だと思います。それすらできない人がたくさん登っている。近年外国人が増えてマナーがどうのと言われていますが、それより前の頃です。日本人だろうと何人だろうとマナーのない人はたくさんいるということです。恥ずかしいかぎりです。
お鉢めぐりが終わったら、再び富士宮ルートで下山します。下るうち天気が怪しくなってきましたが、ギリギリ雨には振られず降りてくることができました。
下山中の最悪の思い出は、足の裏が激痛に襲われたことです。登りは楽々追い抜いていた父に余裕で追い越され、痛みでヒーヒー死にそうになりながら、やっとのこと五合目に着いたときは心底ほっとしました。何が悪かったのか。靴です。
この頃、まだ登山道具に関して何の知識もなく、いつもTシャツにスニーカーで登っていました。ザックは父のお下がりの、20年以上前のボロボロのものでした。
富士山に登るのにそれじゃイカンということで、靴、ザック、レインウェアのいわゆる三種の神器と、ゲイター(足元につける泥除けみたいなもの)、ヘッドランプ(暗いうちから歩くなら必須)、ハイドレーション(歩きながら水が飲めるチューブつき水筒。超便利)、それに多少のウェアを買い足しました。ストックだけは持っていて、今はほとんど見かけないシングルの安物です。ステッキみたいなやつですね。でもないよりは全然ましです。
ここで最大のミスは、ケチってスニーカー風のハイキングシューズを買ってしまったことです。
登山靴にもいろいろありますが、ハードな山向けになるほど底が厚く、頑丈なものになります。比例してお値段も張るのが悩ましい。山道具屋さんに行って「富士山に行きます」と言えば最適なものを勧めてくれるはずなのですが、そのとき私は何と言って買ったのか…覚えていません。
とにかくヘニャチョコのスニーカーみたいな靴で長時間歩いたため、足の裏に無数の石ころの衝撃が伝わり続け、とうとう酷使の限界リミット超えで悲鳴を上げたわけです。あれは今思い出しても地獄だったので、皆さんもそれなりに底が頑丈な靴で登ってください。ビーサンで登っている外国人とかいますが、きっと足の裏が鉄でできているんだと思います。
後年、ちゃんとしたトレッキングシューズを買いにお店に行って、こういう靴(富士山に登った靴)を持っているんですけど、と言ったら、これは山登り用じゃなくてせいぜい尾瀬の木道ぐらいしか歩けません、と言われて愕然としました。今はお散歩専用になっています。
富士山に登ろう!という人で、その後も山登りを続ける人は一握り。続けるならいいですが、一度しか行かない登山に高い山道具を買い揃えるのって抵抗があります。だけど自分の足だけが頼りの登山では、靴は何より大事なもの。登るときは最低限、それなりの装備を揃えて臨んだほうが、より快適で安全な富士山を楽しめることは間違いありません。どうしても金銭的に厳しかったら、今はレンタルも豊富なので利用するのも手だと思います。
私の場合、結局このとき揃えた装備で今も使っているのはザックだけです。ハイドレーションも一応現役ですが、最近水漏れするのでそろそろ買い替え時期かも。それ以外の道具は、全部あっという間に壊れて使えなくなりました。安物買いの銭失い、という言葉を身をもって感じます。とはいえ、今使っている山道具にかかった金額を合計すると…恐ろしい数値が出そうなので、考えたくありません。
山に登るのは(例外を除いて)タダですが、ハマると他の趣味と同じようにそれなりにお金が出て行きます。だって安全には替えられないですからね!なんでもそうですが、ハマるときは、それなりのお覚悟を。笑
日が長くなるのに合わせて、盆地の周りの山の雪も少しずつ、少しずつ減っていくこの季節。つい最近まで真っ白だった気がする富士山も、今はだいぶ雪が減りました。山に残る雪で季節を感じることができるのも、甲府ならではの味わいです。
そして全ての雪がなくなった頃、待ちに待った夏山シーズンがやってきます。
甲府から登れる山々をざっくりご紹介。今回はみんな大好き、八ヶ岳(やつがだけ)エリアです。
■八ヶ岳(やつがだけ)とは
八ヶ岳は山梨県北杜市から長野県佐久市にまたがり南北に連なる山脈のことで、日本アルプスほどの険しさや山深さはありませんが、バラエティに富んだ山々や、豊潤な森林などでとても人気のあるエリアです。マイカー規制もなく、日帰り可能な山が多いのもいいところ。
山麓には清里や蓼科高原、白樺高原など著名な高原リゾートが数多くあり、観光地としても人気です。
山中の山小屋がどれも個性的でオシャレなのも特徴的。あくまで主観ですけど、東京の街に例えると、北アルプス=銀座、南アルプス=上野(か浅草)、八ヶ岳=吉祥寺、だと思ってます。八ヶ岳の雰囲気は吉祥寺っぽい!
ほぼ中間に位置する夏沢峠(なつざわとうげ)より北を北八ヶ岳、南を南八ヶ岳と区別することが多いです。
南八ヶ岳には主峰赤岳(あかだけ)をはじめとした険しい岩峰が連なり、スリリングな岩歩きが楽しめます。北八ヶ岳は南八ヶ岳より穏やかな山が多く、苔むした樹林帯のハイキングなど、豊かな自然を満喫できます。
甲府からだと、どこが起点かにもよりますが、一番近い小淵沢あたりまで車で高速を使えば30分強、下道で清里が1時間弱、一番遠い蓼科周辺が高速利用で1時間半ぐらい。横浜からはるばる来ていた頃に比べると、本当に近くて、気軽に登れる山になったのはありがたいです。
■赤岳(あかだけ)/ 2,899m
八ヶ岳最高峰の山。山梨県側から見ると、ほぼ中央にどっしりと三角形に見える山がそれ。最高峰にふさわしく、険しくも楽しい岩場の登りが魅力的。
2015年に山頂に猫が住み着いたことが話題になっていましたが、あんな険しい山にいったいどうやって登ったのでしょう…捨てられたのならひどい話ですね。(現在は無事保護されたようです)
長野県側の美濃戸から登るのが一般的で、赤岳~横岳~硫黄岳と周回するコースも人気です。
美濃戸からの文三郎尾根、地蔵尾根、美し森からの真教寺尾根、県界尾根、権現岳からのキレット越えと、登頂するルートはたくさんありますがどれも急な岩場となっており、特に真教寺尾根、県界尾根、キレット越えは中級者コースになるので初心者には不向きです。(この3つは八ヶ岳最難コースと言われています)
初回は、美濃戸からがオススメです。赤岳のみであれば健脚なら日帰りも可能ですが、山小屋もたくさんあるのでどこかで1泊すると余裕を持って登れると思います。赤岳鉱泉に泊まれば、夕食にはなんとステーキが!
■横岳(よこだけ)/ 2,829m
赤岳から連なる稜線にあるギザギザとした岩峰。いくつかのピーク(高いところ)をまとめて横岳と呼びます。北八ヶ岳にも横岳があり、そちらは区別するため北横岳と呼ばれることが多いです。
切れ落ちた絶壁や、鎖場(鎖を掴んで登り降りするような急なところ)があるため、南八ヶ岳の主稜線のなかでは一番スリリングな箇所。赤岳とセットで登ることが多いです。
■硫黄岳(いおうだけ)/ 2,760m
北側に爆裂火口と呼ばれる噴火口の跡が生々しく残る山。火口をよく見ようと、近づき過ぎると落ちちゃうので注意。広大な山頂にケルン(石を積んだ塔)が並ぶ様はあの世の入り口のようで独特の光景。横岳へ至る稜線は、高山植物の女王、コマクサの群生地として知られています。
■阿弥陀岳(あみだだけ)/ 2,805m
山梨県側から見ると、赤岳の左に似たような急峻な三角形でそびえる山。険しさは赤岳に匹敵し、冬期の難易度は赤岳以上とか。
実はなんとなく登りそびれていてまだ一度も登れていません…。今年こそ登っておきたい山。
■権現岳(ごんげんだけ)/ 2,715m
赤岳とキレット(山と山の間に深く切れ込んだ谷状の地形のこと)を挟んで小淵沢寄りに立つ山。小淵沢ICすぐの観音平(かんのんだいら)から登るルートが主流。日帰りで、編笠山とセットで登られることも多いです。
観音平方面から登ると、手前にギボシと呼ばれる岩峰が立ち塞がり、これを山頂と勘違いした人は私です。ギボシ前後は切れ落ちた岩場や鎖場となるので慎重に通過しましょう。
巨岩が積み重なる山頂と、その下の斜面にゴジラの背びれのように連なる岩の眺めが異様で、好きな山です。
■編笠山(あみがさやま)/ 2,524m
その名のとおり、編笠のような綺麗な円錐形をした山。山梨県側から見ると、一番左に山型の柔らかなアーチを描いている山です。
南八ヶ岳の中では一番易しいと言われていますが、山頂直下はなかなかの急な登りが待ち構えています。木の根に引っかかって盛大にすっ転んだ思い出の山。
権現岳方面、青年小屋へ降りる斜面は一面巨岩が転がるゴーロ帯となっており、アスレチックみたいで楽しいか、隙間に落ちそうで怖いかはかなり個人差が出そうです。
広い山頂からの眺めは、天気が良ければ小淵沢の街並みが一望でき、格別です。
■天狗岳(てんぐだけ)/ 2,646m
八ヶ岳のちょうど中央あたりに位置する双耳峰(ふたつの山頂が動物の耳のように並ぶ)の山。
日本最高所の露天風呂がある本沢温泉をはじめ、登山口の周囲には秘湯系の温泉が豊富。
南八ヶ岳の岩稜好きな自分には、ちょっと物足りない気がして実は一度も登っていません…こちらも今年こそ登る予定。
■北横岳(きたよこだけ)/ 2,480m
ピラタス蓼科スノーリゾートにある北八ヶ岳ロープウェイを使えば、比較的ラクに山頂に着ける山。特に冬、雪山入門の山として人気が高いです。
ロープウェイで上がったところにある坪庭(つぼにわ)散策だけでも、雲上のプチハイキングが楽しめます。
■蓼科山(たてしなやま)/ 2,531m
別名プリンちゃん。じゃなくて諏訪富士とも呼ばれる、円錐形の綺麗な山容が特徴の山で、八ヶ岳最北端に位置します。冠雪期に見ると山頂だけ白い様がまるでプリンなので、私の心の中ではプリンで定着しました。
プリンのとおり広大な山頂は、クレーターのような火口跡を岩が覆い、まるで他の惑星のようです。晴れていれば北は浅間山から南に連なる八ヶ岳連峰まで一望でき、眺望は抜群。
白樺高原国際スキー場のゴンドラリフトを利用すれば、7合目登山口から比較的短時間で登頂可能です。
■麦草峠(むぎくさとうげ)/ 2,120m
八ヶ岳を東西に横断して走る国道、メルヘン街道のほぼ最高地点にある峠。標高は日本の国道第二位。
冬季閉鎖期間以外は一般の車でも行くことができ、駐車場から徒歩15分のところにある白駒池(しらこまいけ)は観光スポットとして人気。白駒池周辺の苔の森は、日本三大原生林に数えられ、もののけ姫の世界のような重厚な森林に圧倒されます。
白駒池から少し足を延ばせば森林のハイキング、更に遠征してそこそこの登山と、観光以外にもいろいろな楽しみ方ができるお気に入りのスポット。
初心者から経験者まで満足できる豊富なルートと、たくさんの観光スポットで、誰といつ行っても楽しめるのが八ヶ岳の好きなところです。特に森林の豊かさは、個人的には上高地より見応えがあり、気に入っています。山麓のリゾートエリアだけでも充分満喫できますが、せっかく行くなら豊かな自然に一歩でも踏み込めば、より一層八ヶ岳の魅力を見つけることができると思います。
次回以降はまた、別の山々をご紹介できたらと思っています!
5月の甲府は昼間はカッと日差しが降り注ぎ、日が落ちるとともに冷気に包まれます。旅行の際は羽織ものをお忘れなく。夜は東京よりかなり涼しく、過ごしやすいです。
この時期迷うのはコタツをしまうタイミングです。私はGW前に片付けましたが、どうやら山梨では一年中コタツが出ているのがデフォルトだとか。あくまで、噂です。
今回は甲府のまわりを取り囲む山・山・山をざっくりとご紹介します。
(長くなりそうなので複数回に分けます)
日本には北アルプス、南アルプス、中央アルプスの3大アルプスがあります。重なり合うようにほぼ縦一列に、北は富山県から南は静岡県までまたがって連なる山脈は、日本の屋根とも呼ばれています。
アルプスにはカウントされませんが、八ヶ岳(やつがだけ)も大きな山脈です。
富士山はどの山脈にも属さず、独立峰として山梨と静岡の県境に位置します。
甲府盆地から南を見ると、御坂山地(みさかさんち)の向こうにどっしりと富士山が見え、西には壁のようにそびえる南アルプス、北西の少し遠くに八ヶ岳、北~東にかけて奥秩父連峰と、周囲を大小様々な山に囲まれていることがよくわかります。
もちろんそのほとんどの山が登れるわけで、登山好きにはたまらないのはもちろん、ライトなハイキングやトレッキングの名所も多くあり、甲府に住んで山に行かないのは大変もったいないことだと思います。
■南アルプス
甲府は南アルプスの玄関口として有名で、夏には公共交通機関で南アルプスに向かう人が、駅前で野宿する光景が定番です。今年は駅前ロータリーも整備され、とうとうテントが張りやすそうなスペースまでできてしまいました。とはいえ逮捕されても責任は持てませんので、駅前テント泊はオススメしません。
南アルプスには標高日本第二位の北岳(きただけ)、第三位の間ノ岳(あいのだけ)(※北アルプス穂高岳と同標高でタイ)があり、第一位の富士山と合わせると、山梨県には日本の山ワンツースリーが揃っていることになります。これって意外と知られてません。もっとアピールしようよ山梨県。
他に行きやすくて有名な山に、甲斐駒ケ岳(かいこまがだけ)、仙丈ヶ岳(せんじょうがだけ)、鳳凰三山(ほうおうさんざん)などがあります。
■北岳(きただけ)/ 3,193m
日本第二位の標高を誇るものの、富士山のインパクトに霞んで知名度も低く、ちょっと不遇の扱いを受けている山。とはいえ、私の大好きな山のひとつです。
南アルプスの盟主にふさわしい、整った三角形の気品あふれる姿が特徴で、東面にはバットレスと呼ばれる切り立った岩壁を抱きます。初夏に見られるキタダケソウという固有種の花を見に訪れる人も多い、花の山でもあります。
大半が岩稜帯となり、切り立った箇所を通るところもあるので、相応の体力と装備が必要です。富士山が1位で、北岳が2位だから、富士山よりラクだろう、というのは大きな間違い。富士山は、登山の入り口的存在です。富士山以外にも、ある程度登山経験を積んでから挑むことを推奨します。
標高が高いため、登るなら1泊以上するのが一般的。登山口に広河原山荘、中腹に白根御池小屋、山頂周辺に北岳山荘、北岳肩ノ小屋など山小屋も豊富。特に最近再建されたという白根御池小屋は、街と遜色ない綺麗さに驚きました。
■間ノ岳(あいのだけ)、農鳥岳(のうとりだけ)/ 3,190m、3,026m
北岳に連なって、間ノ岳、農鳥岳と続く3,000m級の山々をまとめて、白峰三山(しらねさんざん)と呼びます。日本屈指の、天空の稜線歩きを体感することができます。
北岳と合わせて縦走するコースが一般的。2泊以上の日数と、それなりの体力が必要です。
■甲斐駒ケ岳(かいこまがだけ)/ 2,967m
この山が見える家に住むことが譲れない条件でした。というぐらい、大好きな山。
南アルプスの北端に位置し、摩利支天(まりしてん)と呼ばれるたんこぶのような岩峰を従えた異様な姿は、甲府市街からもよく見えます。中央道を北杜市まで走ると、左側にどんどん大きくなるそのインパクトは大。夏でも山頂が白いのは雪ではなく、花崗岩の白砂に覆われているからです。
北沢峠(きたざわとうげ)登山口からは、健脚なら日帰りすることも可能。ただしバスの時間がシビアなので、できれば北沢峠に1泊するのが余裕も持てておすすめです。
樹林帯、ゴーロ帯(岩がゴロゴロしている地帯)、眺めのいい岩の稜線歩き、山頂近くの白砂歩きなど、変化に富んだコースはとても楽しいです。一部手を使ってよじ登るような岩場があるので、相応の経験と装備は必要です。よくそこで渋滞しています…。
尾白川渓谷から登る黒戸尾根は、日本三大急登(日本のキツイと言われる急な登りベスト3)のひとつで、中級者以上向けルート。上部はハシゴや岩場が連続し、初心者は行かないほうが無難です。ロングコース過ぎて、途中で歩きながら寝たのはいい(?)思い出。
■仙丈ヶ岳(せんじょうがだけ)/ 3,033m
山頂の3つの、カールと呼ばれる氷河がつくった扇形の巨大な窪地が有名な山。たおやかな稜線から南アルプスの女王とも呼ばれています。南アルプス入門の山とされていますが、急峻なところはないものの、アップダウンが続くのでそれなりの体力は必要です。甲斐駒ケ岳と同じ北沢峠から登るので、1泊か2泊して、甲斐駒ケ岳とセットで登るのも人気です。
カールのふちを歩く稜線歩きは絶品。富士山、北岳、間ノ岳と、日本のワンツースリーが仲良く並ぶ光景も、ここからだけのご褒美です。
個人的には、ここから眺める甲斐駒ケ岳のフォルムが一番かっこいいと思ってます。
■鳳凰三山(ほうおうさんざん)/ 2,841m
地蔵岳、観音岳、薬師岳の3山を合わせて鳳凰三山と呼びます。地蔵岳の山頂にはオベリスクと呼ばれる巨岩が積み重なった塔があり、甲府盆地から西側の稜線をよく見ると、小さな突起に見えるのがそれです。
山頂は甲斐駒ケ岳と同じく白砂地帯になっており、白砂と奇岩が連なる美しい稜線歩きで人気があります。
ここも南アルプス入門の山とされていますが、ロングコースになるため最低1泊はする必要があります。他の南アルプスの山に比べると危険な箇所は少ないですが、急な登りが続くので、体力は必要です。
青木鉱泉から登るドンドコ沢コースは、道中いくつもの滝が見れるのでオススメです。
■南アルプスへのアクセス
北岳、間ノ岳、甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳に行くには、甲府駅前からバスに乗って広河原(ひろがわら)というところを起点にするのが主流です。車の場合は芦安(あしやす)の駐車場に停めて、そこからバスか乗合タクシーで広河原に向かいます。マイカー規制があるため、車で直接広河原に行くことはできません。
バスの本数は限られているので、南アルプス市のバス時刻表を事前に確認することが必要です。
北岳は広河原から登り始めることができます。間ノ岳や農鳥岳は、北岳と並んでいるので、北岳とセットで縦走するのが普通です。
甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳は広河原から更にバスか乗合タクシーに乗り換え、北沢峠(きたざわとうげ)というところまで行く必要があります。北沢峠には大きなテント場や綺麗な山小屋があるので、そこに泊まって両山まとめて登るのも人気です。
鳳凰三山は、車で直接向かえる青木鉱泉(あおきこうせん)か御座石温泉(ございしおんせん)、もしくは夜叉神峠(やしゃじんとうげ)というところを登山口にします。青木鉱泉、御座石温泉には宿泊施設があるので、前泊したり、温泉のためだけに行くことも可能ですが、途中の林道が荒れ気味なので気をつけてください。
甲府を代表する山といえばやっぱり南アルプス!えっ、富士山は…?それは次回以降ご紹介できたらと思います!
コラムをご覧のみなさま、はじめまして。
来月2017年5月に、晴れて甲府に移住して一周年ということで、こちらのコラムを新しく担当させていただくことになった松下 藍と申します。
出身は東京都の田園地帯(注:褒め言葉です)町田市、移住前は横浜市で両親と一緒に暮らしていました。
フリーランスの映像屋で、自宅でPCを使いCGをつくったりする仕事を主にしています。
今回は初回なので、自分が移住した経緯についてご紹介します。
移住した目的、それはズバリ登山です。
他にも猫が仲悪いとか細かい理由は星の数ほどありますが、一番の理由は、趣味の登山のため山の近くに住みたかったから。家で仕事中、ふと横を向いたら窓の外から山が見えたら素敵だな、と思ったから。それも、なんだかよくわからない薄布のような山並みではなく、日本を代表する山々が壁のように見えるなら、どんなに素晴らしいことか。
登山者の聖地といえば、上高地。上高地といえば、長野県です。例に漏れず、私も当初は松本に住みたいなあなどと、漫画『岳』を片手に夢見ておりました。移住者第1段階、「夢見る少女タイム」です。
実際、松本には下見という口実で旅行にも行きました。ずいぶんオシャレな街だなあと思ったのを覚えています。
移住者第2段階、「現実を見始める」に突入すると、夢も一気に醒めてきます。
私は東京で週一で講師の仕事をしており、どうしてもそれは辞めたくありませんでした。東京まで通うのに、松本は遠すぎます。ならば、中間をとって山梨県ならどうだ。
当時、山登りをしていて一番よく通っていたのは長野県ではなく山梨県でした。
登山をすると様々な山麓の集落を通りますが、山梨県だけその雰囲気が、群を抜いて良いかんじなのです。どこがどう、と具体的に説明するのは難しいんですが、何か明るくて開放的なものを感じていました。登山口まで向かう風景も、子どもの頃に観ていたアニメ『にっぽん昔ばなし』を思い出すようで、心躍るものがありました。
ターゲットを山梨県に絞ったところで、どこに住むかです。ここで私はまた安直に、「八ヶ岳に近い」という理由で北杜市を狙いました。日本一の日照率を誇り、移住したい街のトップに君臨し続ける北杜市。ザ・田舎暮らしの代表のような北杜市。名前もなんだかかっこいい、北杜市。
しかしここで移住者第3段階、「現実の壁にぶち当たる」が待ち構えていました。
独身女1人きり&猫なので、賃貸でマンションを借りるつもりでいました。が、物件が…ない。空家物件はたくさんあるのですが、1人で一軒家はハードルが高すぎるし、そもそも一軒家に今まで住んだことがありません。メンテナンスとか考えても、絶対、無理。
そもそも冷静に考えてみましょう。今まで徒歩圏にコンビニ・スーパー・ドラッグストアがあるのが普通で、休日にはショッピングして飲みに行き、ときどきTSUTAYAでDVDを借りて、本屋で本を買う。そんな生活をウン十年続けていたのに、いきなり畑と森と山しかない田舎に住んだら、カルチャーショック過ぎて入院して、鹿とお話する人になってしまうかもしれません。病院も近くにないかもしれないのに。
田舎暮らしと聞くといいイメージばかりが先行していますが、本当の田舎に暮らすのならば、もっとリアルに考える必要があると思います。
田舎に暮らすことが目的ではなく、単に山の近くに住みたかった私は、北杜市をあっさり却下しました。
そして浮上したのが甲府市です。
甲府には、一度だけ、登山のためビジネスホテルに前泊したことがありました。しかしそのときは夜遅く着いて即ホテルで寝て、翌朝始発で登山口に向かい、その翌日の夜ボロボロでバスで戻ってきてまっすぐ帰るという状態で、ほとんど素通りでした。
唯一、出発する朝、甲府の駅前から見えた山並みが朝日で赤く染まるさまがとても美しく、こんな街に住んだら幸せだろうなあ、と思ったのが印象的でした。本当にその翌年、住んでしまうとはそのときは思ってもいませんでしたが。
ネットで甲府市内の賃貸物件を検索したら、北杜市とは比べ物にならない数がヒットして歓喜し、片っ端から眺めていました。移住者第4段階「物件情報をオカズに妄想しニヤける」です。
しかし土地勘が一切ないので、どこの地域がどういう雰囲気でどう違うのか、さっぱりわかりません。
その頃、このコラムのあるサイト「甲府の暮らし方」もよく覗いていて、その繋がりで東京・有楽町にある移住支援センターの存在を知りました。定期的に甲府の担当の方が来ていると知り、さっそく向かいました。
現地でお会いした甲府市移住コンシェルジュの成澤さんはとてもパワフルでフレンドリー。その話しやすさと何でも知っている情報量で、気がついたら2時間以上も話していました。
「甲斐駒ケ岳が見える家がいい」「見晴らしのいい家がいい」などのちょっと特殊な要望にもすらすら応え、オススメの地域から富士山に向かうベストルート、おいしいお店まで教えてもらい、更に成澤さんの実家である旅館「萬集閣」の宿泊予約までさせてもらって、その日のうちにトントン拍子で下見に行くことまで決まってしまいました。
家でネットで100情報を集めたとしても、1人の人に会うことのほうが格段に大きいのだとつくづく感じます。
下見は2泊で、それぞれ1日1社ずつ3社の不動産会社に内覧の予約をしていきました。
1日目の不動産会社は地元の会社で、そこで2軒目に紹介してもらった物件に一目惚れし、ほぼ即決。
盆地の端の少し高台にあるそのマンションは、リビングからは甲府の街並みと富士山が一望でき、仕事部屋と寝室からは南アルプスが見える3DK。もちろんペット可、駐車場つき。これで家賃は5万円。東京だったら1Rにも住めません。理想以上の部屋に出会えた感動で、倒れそうでした。
部屋と入居日が決まればあとは早く、引っ越しの準備をしたり契約しにもう一度甲府に来たり。有楽町の支援センターに行ってから、たった2ヶ月後には甲府に住んでいました。移住者最終段階「移住する」です。
第1段階から第4段階までは、誰でもできるしいくらでも時間をかけられます。しかし一歩踏み出したあと、現実になるまでは本当に早かった。
山の見える広い部屋で、仕事をして猫と遊んで山に登りに行き、温泉に入り、美味しい空気と水と野菜と果物を食べて、スーパーもコンビニもドラッグストアもTSUTAYAもあるし病院もたくさんある。こんな生活を満喫しているなんて、数年前までは思ってもいませんでした。
まだまだ甲府生活一年生ですが、こんな私が登った山や入った温泉、甲府に暮らして感じたことを気ままに、このコラムで紹介していければと思っています。
これからもよろしくお願いします!