都会の雪は災害だが山の雪は美しい

甲府の冬は、寒いです。

1年前、移住して初めて迎えた冬の寒さには、東京(や神奈川)がいかに温暖な地であるか、とことん思い知らされました。それまで住んでいたのだって、都心に比べたら少々寒いエリアではあったのですが。

 

寒いなら 抱き合えばいいのさ ねこが言う

 

北杜市は、長野にも山にも近いので寒いのは当たり前です。富士吉田市や富士河口湖町は、富士山麓の冷気が溜まるので見た目以上に寒冷な地です。なら甲府市は、都会だからあったかいんじゃね?

なーんて思ってるそこのあなた。甲府の寒さをナメたら駅前の信玄公がビンタしますよ。

 

以下は、昨年、私が寒さに耐えかねて行った対策です。

 

・人生初石油ファンヒーターを導入(エアコンは乾燥が苦手で昔から使っていなかった)

・ユニクロの極暖ヒートテックをまとめ買い(横浜の頃は暑くて着れなかった)

・ユニクロその他の裏起毛暖パンツをまとめ買い(横浜の頃は蒸れて着れなかった)

・人生初モコモコブーツを導入(内側にモコモコがついている靴は初めて)

・モコモコスリッパを導入(今まではつま先の開いたスリッパ)

・布団の敷きパッドにニ○リのNウォームを導入

・人生初湯たんぽを導入(レンジでチンするタイプのもの。便利!)

・窓に断熱プチプチを貼ろうとして、窓が対応していないことに愕然とする

 

それと、当然ですが、燃料光熱費もなかなかのお値段に。

ピークの時期で、ガス代は月約1万2000円、灯油代は月約5000円。山梨県は甲府駅周辺を除いて大半がプロパンなため、ガス代はちょっと割高なようです。これはあくまで我が家の金額なので、家の断熱性や湯沸かし器の性能などで前後するとは思います。

この、寒さで増大するコストについては、移住最大の盲点でした。これから移住を考えている方は、くれぐれもお忘れなきようご注意を。

 

盆地の寒さをナメてはいけない。だが、冬の山は、美しい

 

前置きが長くなりましたが、先日の2018年1月22日。4年ぶりの大雪だかで、都心でも20cm雪が積もりました。大騒ぎのTVを横目に、甲府にも初雪が降り積もりました。その量、5cm。親と写真を送り合っていたんですが、明らかに横浜の実家のほうが積もってるってナニコレ。

というかんじで、甲府は雪は意外と積もりません。昨冬も積雪したのは2回ほど。どちらもうっすら積もる程度で、すぐ溶けた記憶があります。

 

とはいえ2014年には山梨県全域で1m以上積雪し、記録的な大災害になりました。当時は陸の孤島になるエリアが出たり、車庫の屋根は抜け落ちるわ窓ガラスは割れるわ食料はなくなるわで、相当なひどい状況だったと聞きます。また、雪は積もらなくとも気温は低く霜や凍結は日常茶飯事です。あくまで油断は禁物です。

 

今年買ったスノーブーツ、本当に雪の日にデビューすることになるとは思わなかった

 

雪の降った翌日の1月23日。甲府の雪景色を満喫する数少ない機会を狙って、裏山エリアに偵察に行ってみることにしました。

裏山エリアというのは昇仙峡~茅ヶ岳などの甲府市北部の一帯で、我が家から市街地を通らず30分以内で行けるため、すっぴんパジャマでも行けるエリアとして普段から慣れ親しみ敬意をもって裏山と呼ばせていただいております。裏山ってドラえもんで出てきた頃から憧れでした。裏山が叶う街、それが甲府!

 

まずはお隣甲斐市の敷島を抜けて、太刀岡山(たちおかやま)の登山口まで行ってみます。登山口には車を停めるのにちょうどいい駐車場があって、太刀岡山名物の鋏岩(はさみいわ)という大岩を真下から眺めることができます。雪化粧された鋏岩…想像するだけでかっこ良さそう。これは見ておかなければ、後悔する!

 

太刀岡山駐車場から見える奇岩、鋏岩。30分ほど登ればあの岩の上に立てます

 

太刀岡山を下から眺めて満喫したら、寄り道しつつ金櫻(かなざくら)神社へ。

 

雪まみれの金櫻神社に到着。路面は凍結箇所もあるので冬期は要注意

 

金櫻神社は、甲府で一番好きな神社です。甲府市北端に位置する日本百名山、金峰山(きんぷさん)をご神体とする神社で、山に縁があり、金運のパワースポットで有名となれば、通わざるを得ません。日光東照宮を彷彿とさせる本殿のキンキラキン具合も非常にツボです。春に咲く鬱金桜は薄黄緑色の花が美しく、一見の価値ありです。

 

雪に映える朱色が鮮やかな神殿。ショベルカーとも妙にマッチ

 

金運のご利益があるという鬱金桜(左手前)とキンキラキン本殿(右奥)

 

到着するとショベルカーで除雪の真っ最中でしたが、金櫻神社の赤い神殿に雪が積もった様子は幻想的で想像通り。除雪の邪魔にならないようそそくさと参拝し、そそくさと雪の社殿を堪能。初詣でおみくじを引いたら末吉だったことに凹んだ思い出は、もう忘れようと思います。

 

参道の階段と不思議な柱も雪に埋もれていつもと違う表情

 

お次は昇仙峡の予定でしたが、せっかくなので荒川ダムにも立ち寄ってみることに。

三色餅の美味しい大黒屋さんの向かい、普段は賑わう荒川ダムも、どんよりとした空の下雪を被っていつもより厳かな佇まい。人っ子一人いない山奥に興奮する変態ソロハイカーなので、誰もいないダムももちろん堪りません。パシャパシャ写真を撮ってる横で、県(?)の職員の方が雪かきしてくださってたのがなんか申し訳なかったです。

 

雪を被って真っ白な荒川ダム。なかなかレアな光景なんじゃないでしょうか

 

ダムから昇仙峡方面を見下ろす。左奥の山塊が羅漢寺山で、ロープウェイを使えばすぐ登頂できます

 

昇仙峡ロープウェイも見えました

 

ダム湖に1羽寂しく浮かぶ鴨

 

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

荒川ダム360° その1(駐車場の東屋付近から)

 

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荒川ダム360° その2(ダム中央付近から)

 

そしていよいよ、本日のメインディッシュ、昇仙峡へ。

紅葉などのシーズンは観光客で溢れる甲府随一の観光地ですが、積雪+平日+曇っててクッソ寒い の3コンボが達成されれば、誰一人いるはずがありません。予想通りの閑散具合にニヤニヤしつつ、スタックを心配しながら雪に突っ込むように車を停め、仙娥滝(せんがだき)へ。

 

滝に降りる手前、いきなりあってギャッと悲鳴が出ました。前あったっけ?こんなの。心臓に悪いよもう

 

落差30mの仙娥滝(せんがだき)。昇仙峡の見どころその1です

 

いつもより水量が多く、激しく落ちる滝と雪のコラボを眺めたら、遊歩道を覚円峰(かくえんぼう)~天狗岩方面へ。仙娥滝まで下る長い階段は除雪されていましたが、その先は無除雪。積雪は20cmほどでしょうか。雪を踏みしめながら歩くのはやっぱり楽しいです。

 

滝から少し進むと姿を表す覚円峰。右奥の黄色っぽい岩峰がそれです

 

粉雪のように雪を被った覚円峰は、墨絵のような趣があります

 

昇仙峡のパンフレットやポスターに必ず写っている覚円峰。その上で覚円禅師が修行されたのが名前の由来だとか。確かに上に乗ったらかなりのスリルにメンタルが鍛えられそうです。

石門をくぐって雪に埋もれた夢の松島はスルー、天狗岩の見える茶屋のあたりまで来たら引き返すのが、自分のだいたいお決まりのパターン。羅漢寺山に登ったときはそのまま長瀞橋まで歩きますが、そのコースについてはまたいずれ。

 

石門といえば群馬県の妙義山が有名ですが、昇仙峡にも石門があるんです

 

ここの向かい合わせに茶屋があるあたりでUターンするのがいつものパターン

 

振り返ると、迫る天狗岩の岩壁(右手前)と、覚円峰(左奥)。木が邪魔だなあ

 

巨岩の転がる渓谷に雪が積もり、いつもとは違う見応えがあります

 

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昇仙峡360°(覚円峰の真下から)

 

昇仙峡の巨岩群と雪のコラボは絶対マッチすると踏んで来てみたわけですが、勘は的中。もう見飽きたと思っていた景色でしたが、季節が変わればまた新鮮な見方で楽しめるものです。なにより車で30分もかからず、こんなところにふらっと来れちゃうなんてワンダホーです。

この日は寄りませんでしたが、帰りに温泉に寄って帰ることも可能です。山宮温泉や紅椿の湯など、帰り道にいくつも温泉があるので選び放題。双葉IC方面に行くなら湯めみの丘もおすすめです。

 

寒さで尿意を催し、県営駐車場に停めようとしたら雪深すぎてスタックするかと思いました。トイレのためにスタックとか笑えないんですけど

 

これを書いている今、今度は未曾有の寒波で甲府もマイナス11度だとかいうとんでもない予報が出ています。初めての冬を越えて、かなり寒さに強くなった自信がありますが、マイナス11度にはさすがに勝てません。だけどこのピリピリした寒さが、近頃なんだかクセになってきたような気もするのです。