甲府から登る山#3:奥秩父連峰
甲府から登れる山をざっくりご紹介シリーズ。
今回ご紹介する奥秩父連峰(おくちちぶれんぽう)は、登山をしない方にはちょっと聞き慣れない単語かもしれません。甲府盆地の北側から群馬県、埼玉県にかけてまたがる山域を、そう呼びます。
○○アルプスや八ヶ岳に比べると少し地味な印象ですが、気軽に登れる里山から本格的な2,000m峰まで、山深い豊かな自然を抱いた魅力溢れる山域です。
登山好きのバイブル、深田久弥著「日本百名山」に名を連ねる山もたくさんあり、都心から近いことからも、一年中ハイカーが訪れる地でもあります。
今回はその中でも、山梨にある代表的な山をご紹介。
低い山ならそろそろ(4月以降~)雪もなくなり、登れるようになってきます。ただしまだまだ高い山は雪山です。天候や登山道の状況をよく確かめてから登るようにしてください。
■金峰山(きんぷさん)/ 2,599m
甲府市北端にある、別名「甲州御岳山」。って初めて知りました。日本百名山。山梨百名山。甲府市最高峰。うちの裏にある金運パワースポット金櫻神社の御神体。昇仙峡のパワースポットの源(って昇仙峡にポスター貼ってある)。
後半ちょっと胡散臭い響きが充満しちゃいましたが、甲府市に住むなら一度は登れ!な甲府を代表する山であります。
山頂には五丈岩(ごじょういわ)と呼ばれる巨岩が積み重なった異様な岩塊があり、これが金櫻神社の御神体となっています。五丈岩に登っている人も多々いますが、自分はバチが当たって金運が根こそぎ枯渇したら嫌なので自粛。ちなみに登るのはそれなりに難易度が高いので、ボルダリング等経験者でないと難しいかも。
瑞牆山荘側から富士見平を経て登るルートと、大弛峠から登るルートのふたつが一般的。
瑞牆山荘側からだとそれなりの体力が必要ですが、砂払ノ頭からの稜線歩きが素晴らしいのでこちらのほうがオススメ。途中若干高度感があり危ない箇所があるので、そこだけ要注意。
大弛峠側からは短時間で登れるのがメリットですが、駐車場は混んでそうだし道はつまんなそうだしで、自分は登ったことがありません…。体力ないけど甲府最高峰だけは登っておきたいんだ!という方にはアリかも。
瑞牆山荘側からの道中に鎮座する大日岩によじ登れば、絶景のコーヒータイムを独り占め!ただし岩登りが苦手な方はご遠慮ください。
■瑞牆山(みずがきやま)/ 2,230m
金峰山の隣にあり、遠目からも目を引く異様な岩峰の連なりが瑞牆山。標高は低めながらも岩場鎖場のプチスリルが味わえ、そのわりに短時間(通常で6時間前後)で登れることから、シーズンの休日はハイカーが殺到する人気の山。日本百名山で山梨百名山。スリリングとはいえ地元の小学生も登るような山なので、初心者にもオススメです。
山頂手前には大ヤスリ岩と呼ばれる巨岩がそびえ立ち、周囲もクライミングスポットの宝庫。金峰山も含めたこのあたりの山域は、花崗岩の白い岩肌の情景が美しく、岩好きにはたまりません。
先ほどの金峰山と同様、瑞牆山荘から富士見平を経て登るルートが主流。他にもみずがき山自然公園やその近辺の駐車場から周回して登ることもできます。
富士見平の小屋に泊まったりテントを張って、一泊二日で金峰山とセットで登るのも人気。
■乾徳山(けんとくさん)/ 2,031m
甲府市から北東、山梨市北部にある岩の山。
道中の国師ヶ原という原っぱに月見岩(つきみいわ)というボルダリングに最適な巨岩、山頂直下に鳳岩(おおとりいわ)という約20mのスラブ(一枚岩)があり、他にもカミナリ岩やら髭剃岩やら胎内岩など、ユニークな岩が目白押し。鳳岩は初心者にはちょっと難しい難易度ですが、迂回路もあるので安心です。
徳和の乾徳山登山口バス停 or その近くの駐車場から登るのが一般的。標高は低めですが意外と距離があり、体力にある程度自信がある人向け。
日本二百名山、山梨百名山。
昨年2017年12月にNHK BSで放映された「にっぽん百名山・乾徳山」の、番組冒頭と最後でクライミングしてたパーティのうちひとりは私です。笑
たまたま登った日に撮影していて、激写されました。思わぬNHKデビューを飾った、感慨深い山でもあります。笑
■甲武信ヶ岳(こぶしがだけ)/ 2,475m
乾徳山の奥にそびえる、奥秩父連峰の中央に位置する山。山梨県、長野県、埼玉県の3県の境目でもあります。
山梨側からは西沢渓谷(後述)から登るルートがありますが、一般的には日帰りが厳しいコースタイムなのでハードルが高め。長野県の毛木平からも登れますが、こちらもかなり健脚向け。どちらにせよ体力に自信のある方、もしくは一泊前提で登る必要があるため、それなりの覚悟が必要です。
日本百名山、山梨百名山。
■大菩薩嶺(だいぼさつれい)/ 2,057m
甲府市の東、温泉やワインで有名な甲州市塩山の近くから登れる山。
上日川峠(かみひかわとうげ)から登れば、短時間(通常5時間程度)で周回でき、雄大な稜線からは富士山や南アルプスの眺めを満喫できるため、シーズン中の週末は人が殺到する大人気の山。高尾山や奥多摩、丹沢の低山に登ったら、次はここで稜線歩きに慣らす、というのが都心のハイカーにはよくあるパターン(だと勝手に妄想)。
上日川峠までの道は冬期閉鎖するので、秋~春に登る場合は要下調べを。
中里介山の小説「大菩薩峠」のタイトルになったり、60年代に赤軍派が立てこもる「大菩薩峠事件」の舞台になったりと、いろいろいわくのある山。
■雲取山(くもとりやま)/ 2,017m
東京都の山というイメージが強いですが、実は山梨県にもまたがってます。東京、山梨、埼玉の境界に位置する山。東京都最高峰。
標高2,017mということで、昨年2017年にはインスタ映えを狙った人々が殺到する事態となりました。というのは冗談ですが、人が殺到したのは本当です。そのぶん今年はきっと落ち着いているので、狙い目です。
ルートはいろいろありますが、山梨側からは丹波山村の、鴨沢から登るのが一番ポピュラー。健脚でないと日帰りは厳しい距離なので、通常は一泊で登ることをオススメします。
日本百名山、山梨百名山。
■西沢渓谷(にしざわけいこく)
前述の甲武信ヶ岳の麓にある、山梨の観光スポットの一翼を担うほど大人気の渓谷。特に紅葉シーズンの週末は、某夢の国に匹敵するレベルで人が殺到するという噂。混雑が嫌な場合は、平日だったり紅葉を外した時期が狙い目です。新緑だって綺麗ですよ。
渓谷ハイキングとはいえ、一般的に5時間程度、それなりにアップダウンがあるルートなので、歩きごたえは十分。あまり緩い格好で行くと痛い目を見そうです。滑落事故の話もときどき聞くので、くれぐれもそれなりの覚悟と装備で行くようお願いします。
奥秩父連峰は、○○アルプスや八ヶ岳より身近で気軽に登れる山が多いのが魅力。これからの時期、一足早く雪が溶けて登れるようになるのもこのあたりです。とはいえ油断は禁物、行く前にはしっかり準備や下調べをして登るようにしてください。
次回は更に細かい山々をご紹介する予定です!