甲府から登る山#1:南アルプス

5月の甲府は昼間はカッと日差しが降り注ぎ、日が落ちるとともに冷気に包まれます。旅行の際は羽織ものをお忘れなく。夜は東京よりかなり涼しく、過ごしやすいです。

この時期迷うのはコタツをしまうタイミングです。私はGW前に片付けましたが、どうやら山梨では一年中コタツが出ているのがデフォルトだとか。あくまで、噂です。

 

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猫も大好き、コ・タ・ツ

 

今回は甲府のまわりを取り囲む山・山・山をざっくりとご紹介します。

(長くなりそうなので複数回に分けます)

 

日本には北アルプス、南アルプス、中央アルプスの3大アルプスがあります。重なり合うようにほぼ縦一列に、北は富山県から南は静岡県までまたがって連なる山脈は、日本の屋根とも呼ばれています。

アルプスにはカウントされませんが、八ヶ岳(やつがだけ)も大きな山脈です。

富士山はどの山脈にも属さず、独立峰として山梨と静岡の県境に位置します。

 

甲府盆地から南を見ると、御坂山地(みさかさんち)の向こうにどっしりと富士山が見え、西には壁のようにそびえる南アルプス、北西の少し遠くに八ヶ岳、北~東にかけて奥秩父連峰と、周囲を大小様々な山に囲まれていることがよくわかります。

もちろんそのほとんどの山が登れるわけで、登山好きにはたまらないのはもちろん、ライトなハイキングやトレッキングの名所も多くあり、甲府に住んで山に行かないのは大変もったいないことだと思います。

 

 

■南アルプス

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甲府盆地の西側にそびえる南アルプスは、もはや、壁

 

甲府は南アルプスの玄関口として有名で、夏には公共交通機関で南アルプスに向かう人が、駅前で野宿する光景が定番です。今年は駅前ロータリーも整備され、とうとうテントが張りやすそうなスペースまでできてしまいました。とはいえ逮捕されても責任は持てませんので、駅前テント泊はオススメしません。

 

南アルプスには標高日本第二位の北岳(きただけ)、第三位の間ノ岳(あいのだけ)(※北アルプス穂高岳と同標高でタイ)があり、第一位の富士山と合わせると、山梨県には日本の山ワンツースリーが揃っていることになります。これって意外と知られてません。もっとアピールしようよ山梨県。

 

他に行きやすくて有名な山に、甲斐駒ケ岳(かいこまがだけ)、仙丈ヶ岳(せんじょうがだけ)、鳳凰三山(ほうおうさんざん)などがあります。

 

■北岳(きただけ)/ 3,193m

北岳(左)とその向こうに見える間ノ岳(右)(甲斐駒ケ岳より)

北岳(左)とその向こうに見える間ノ岳(右)(甲斐駒ケ岳より)

 

日本第二位の標高を誇るものの、富士山のインパクトに霞んで知名度も低く、ちょっと不遇の扱いを受けている山。とはいえ、私の大好きな山のひとつです。

南アルプスの盟主にふさわしい、整った三角形の気品あふれる姿が特徴で、東面にはバットレスと呼ばれる切り立った岩壁を抱きます。初夏に見られるキタダケソウという固有種の花を見に訪れる人も多い、花の山でもあります。

 

大半が岩稜帯となり、切り立った箇所を通るところもあるので、相応の体力と装備が必要です。富士山が1位で、北岳が2位だから、富士山よりラクだろう、というのは大きな間違い。富士山は、登山の入り口的存在です。富士山以外にも、ある程度登山経験を積んでから挑むことを推奨します。

 

標高が高いため、登るなら1泊以上するのが一般的。登山口に広河原山荘、中腹に白根御池小屋、山頂周辺に北岳山荘、北岳肩ノ小屋など山小屋も豊富。特に最近再建されたという白根御池小屋は、街と遜色ない綺麗さに驚きました。

 

■間ノ岳(あいのだけ)、農鳥岳(のうとりだけ)/ 3,190m、3,026m

 

北岳に連なって、間ノ岳、農鳥岳と続く3,000m級の山々をまとめて、白峰三山(しらねさんざん)と呼びます。日本屈指の、天空の稜線歩きを体感することができます。

北岳と合わせて縦走するコースが一般的。2泊以上の日数と、それなりの体力が必要です。

 

■甲斐駒ケ岳(かいこまがだけ)/ 2,967m

山頂を覆う白砂がトレードマークの甲斐駒ケ岳(仙丈ヶ岳より)

山頂を覆う白砂がトレードマークの甲斐駒ケ岳(仙丈ヶ岳より)

 

この山が見える家に住むことが譲れない条件でした。というぐらい、大好きな山。

南アルプスの北端に位置し、摩利支天(まりしてん)と呼ばれるたんこぶのような岩峰を従えた異様な姿は、甲府市街からもよく見えます。中央道を北杜市まで走ると、左側にどんどん大きくなるそのインパクトは大。夏でも山頂が白いのは雪ではなく、花崗岩の白砂に覆われているからです。

 

北沢峠(きたざわとうげ)登山口からは、健脚なら日帰りすることも可能。ただしバスの時間がシビアなので、できれば北沢峠に1泊するのが余裕も持てておすすめです。

樹林帯、ゴーロ帯(岩がゴロゴロしている地帯)、眺めのいい岩の稜線歩き、山頂近くの白砂歩きなど、変化に富んだコースはとても楽しいです。一部手を使ってよじ登るような岩場があるので、相応の経験と装備は必要です。よくそこで渋滞しています…。

 

尾白川渓谷から登る黒戸尾根は、日本三大急登(日本のキツイと言われる急な登りベスト3)のひとつで、中級者以上向けルート。上部はハシゴや岩場が連続し、初心者は行かないほうが無難です。ロングコース過ぎて、途中で歩きながら寝たのはいい(?)思い出。

 

■仙丈ヶ岳(せんじょうがだけ)/ 3,033m

カールが美しい仙丈ヶ岳(甲斐駒ケ岳より)

カールが美しい仙丈ヶ岳(甲斐駒ケ岳より)

 

山頂の3つの、カールと呼ばれる氷河がつくった扇形の巨大な窪地が有名な山。たおやかな稜線から南アルプスの女王とも呼ばれています。南アルプス入門の山とされていますが、急峻なところはないものの、アップダウンが続くのでそれなりの体力は必要です。甲斐駒ケ岳と同じ北沢峠から登るので、1泊か2泊して、甲斐駒ケ岳とセットで登るのも人気です。

 

カールのふちを歩く稜線歩きは絶品。富士山、北岳、間ノ岳と、日本のワンツースリーが仲良く並ぶ光景も、ここからだけのご褒美です。

個人的には、ここから眺める甲斐駒ケ岳のフォルムが一番かっこいいと思ってます。

 

■鳳凰三山(ほうおうさんざん)/ 2,841m

地蔵岳山頂にそそり立つオベリスク

地蔵岳山頂にそそり立つオベリスク

 

地蔵岳、観音岳、薬師岳の3山を合わせて鳳凰三山と呼びます。地蔵岳の山頂にはオベリスクと呼ばれる巨岩が積み重なった塔があり、甲府盆地から西側の稜線をよく見ると、小さな突起に見えるのがそれです。

山頂は甲斐駒ケ岳と同じく白砂地帯になっており、白砂と奇岩が連なる美しい稜線歩きで人気があります。

 

ここも南アルプス入門の山とされていますが、ロングコースになるため最低1泊はする必要があります。他の南アルプスの山に比べると危険な箇所は少ないですが、急な登りが続くので、体力は必要です。

青木鉱泉から登るドンドコ沢コースは、道中いくつもの滝が見れるのでオススメです。

 

■南アルプスへのアクセス

真夏の広河原はバスを待つ登山者でいっぱい

真夏の広河原はバスを待つ登山者でいっぱい

 

北岳、間ノ岳、甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳に行くには、甲府駅前からバスに乗って広河原(ひろがわら)というところを起点にするのが主流です。車の場合は芦安(あしやす)の駐車場に停めて、そこからバスか乗合タクシーで広河原に向かいます。マイカー規制があるため、車で直接広河原に行くことはできません。

バスの本数は限られているので、南アルプス市のバス時刻表を事前に確認することが必要です。

 

北岳は広河原から登り始めることができます。間ノ岳や農鳥岳は、北岳と並んでいるので、北岳とセットで縦走するのが普通です。

甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳は広河原から更にバスか乗合タクシーに乗り換え、北沢峠(きたざわとうげ)というところまで行く必要があります。北沢峠には大きなテント場や綺麗な山小屋があるので、そこに泊まって両山まとめて登るのも人気です。

 

鳳凰三山は、車で直接向かえる青木鉱泉(あおきこうせん)か御座石温泉(ございしおんせん)、もしくは夜叉神峠(やしゃじんとうげ)というところを登山口にします。青木鉱泉、御座石温泉には宿泊施設があるので、前泊したり、温泉のためだけに行くことも可能ですが、途中の林道が荒れ気味なので気をつけてください。

 

鳳凰三山の登山口となる青木鉱泉。風情あふれる建物が目印

鳳凰三山の登山口となる青木鉱泉。風情あふれる建物が目印

 

甲府を代表する山といえばやっぱり南アルプス!えっ、富士山は…?それは次回以降ご紹介できたらと思います!