若者は宝と言ってくれるまちに住みたい
【DIYでおうちづくり vol.3】
前のオーナーさんと面会のもと、不動産売買契約を締結し、物件を購入したのは7月21日のことでした。
前の所有者さんは80代と70代のご兄弟で、現在は神奈川と奈良にお住まいの方。
締結の日は、松本で暮らすもう一人の70代の弟さんもいらっしゃいました。
もともとは3男2女のご兄弟で、家の前に県道(北バイ)ができるはるか前、70年前に家族でこの元紺屋の地に移住してきて。
45年前、県道(北バイ)が開通するのに伴い、土地が削られ、現在の建物が誕生しました。
その後、兄弟は全国各地へバラバラとなり、ご両親がこの物件にずっと暮らしていたものの、ご両親が亡くなった後、10数年は、ずっと空き家になっていました。
今年の4月下旬にこの物件が売りに出され、私は早い段階で内覧をしていましたが、工事費がいくらかかるのか、ローンの審査は通るのか、様々な検討をしていたら、買う意思を明確にするのに、2ヶ月もの時間が経ってしまいました。
途中、価格の安さや県道前の立地ということもあり、不動産業者、個人投資家含め、何社かすぐに現金で即買いしたいというライバルもでてきました。
それでも前のオーナーさんや仲介をしてくださった70代の不動産屋さんは、私たちを優先的にずっと待ってくれていた。
それは何故だったのか。
そこには、たくさんの思い出残る実家を、これから何年も住み続けてくれる未来ある若者に託したいというオーナーさんの想いがありました。
不動産屋さんも、
口癖のように何回も言ってました。
『若者は宝なんだよ。先の短い老人にこの物件を売っても意味がない』と。
年々深刻化する山梨県の若者の人口流出。
目先の利益ではなく、
たくさんの人が地域のこと、まちのことを考えて、決断をしている。
若いというだけで、宝といってもらえるこのまちで、期待に応えられるように、この建物でしかできない楽しい暮らしをしようと改めて誓った契約のときでした。
帰り際、オーナーさんから
『次に墓参りにくるとき、おうちが完成しいてるのを楽しみにしているよ。そして私もいずれはおうちの前のお墓で眠るからね』と。
私のおうちの前はお墓ですが、
この地に生きた
たくさんの人に見守られている。
そう思うと急に心強い気持ちになるのでした。
ちなみにお隣さんは老人ホーム。
私の一生はこの場所で完結するかもしれません…(笑)