就農体験ホームステイ開催レポート「第一回①」

 

就農体験ホームステイとは、就農を考えている移住希望者が、甲府市内の農家さん宅にお世話になり、農家さんと親睦を深め、地域と繋がりを作ることで、甲府への移住や就農をより具体的にイメージしてもらう体験ツアー。

 

就農体験ホームステイ 第一回「家族で就農を考える。①」

 

1組目は神奈川県にお住いの市川さんご家族で、農大出身の旦那さんが、お子さまの成長をきっかけに、家族のより良い環境を考えるようになった結果、奥さんの支えもあって山梨での就農を決意し、甲府の新規就農について詳しく知るために就農体験ホームステイに参加されました。

 

市川さんを受け入れるホームステイ先は農家の菅沼さん。彼も農大出身で、2014年の大雪の際にボランティア参加したことがきっかけとなり甲府と繋がり、甲府の農業に魅力を感じて、大学卒業後に単身移住、1年の農業研修を経て甲府に就農しました。

 

現在は学生を招いて農業体験を行ったり、都市部のイベントに参加して就農をPRするなど、農業継承者「農継者」の発掘育成に尽力し、協議会を発足して地域の協力を得るなど、甲府の就農者の若きエースとして活躍しています。

 

さて、これから繋がりを作って甲府で農業を始めたい市川さんが、地域の繋がりなく甲府で農業を始めた菅沼さんから1泊2日の就農体験ホームステイで何を感じるのか。

 

ホームステイレポートをご覧ください。

 

ホームステイ1日目

 

 

雨天から始まったホームステイ1日目。
市川さんご家族は15時に菅沼さん宅に到着し、早々にご挨拶。
緊張した面持ちの市川さんでしたが、それぞれが自己紹介をすると、同じ大学だったことが分かり、話す度に少しずつ緊張がほぐれていきます。

 

 

少しの雑談のあと、奥さんとお子さんを残して2人は近所の畑の除草作業に向かいます
この畑、菅沼さんの持ち物ではなく、菅沼さんが近所の知り合いから頼まれて除草作業を行うとのこと。

 

大体1時間ほどで除草作業は終了。

 

菅沼さんは日々の作業に細かい時間を決めず、その日の天候や体調によって自分で仕事のバランスを取って進めているそうで、「会社員とは違い、自分のペースで進めることの気軽さの反面、自分をしっかり持たないとサボりがちになってしまう難しさがある。」と菅沼さん。

 

 

除草作業を終えた2人は、奥さんとお子さんを連れて近くの温泉へ向かい、作業でかいた汗を流します。

 

裸の付き合いで距離がぐっと縮まったのか、それとも身も心も温泉で温まったのか、いつの間にか肩の力が抜けて、笑顔で話す市川さん。
農業という共通の話題で盛り上がっていました。

 

 

温泉の帰りには近所のスーパーでお買い物です。
店内を散策しながら物価の違いや祝材の鮮度を聞いて感心するご夫婦。

 

「野菜や米は地域で手に入るけど、肉やその他は買わないと手に入らない。」と話す菅沼さんは、市川さん家族に振舞うため山梨県産の豚肉を購入しました。

 

 

家に戻るとみんなで夕飯の準備を始めます。
普段はあまり料理をしないという市川さんが自ら進んで夕飯を準備。

 

1人暮らしの菅沼さんは、招いた学生たちにも1人で食事を用意するそうで「手伝ってもらえて助かります。」と話していました。
夕飯に並ぶ野菜は菅沼さんの畑で獲れたナスとピーマン。

 

 

実は2人が除草作業に行っている間、奥さんが夕飯の準備をある程度終わらせていて、2人の男らしい料理が次々にでき上がり、あっという間に夕飯の準備が整いました。

 

 

さあ、菅沼さん家の新鮮野菜を使ったおいしいご飯をみんなで食べましょう。

 

「いただきます!」

 

お子さんも含めてみんなで囲む食卓。
美味しい食事と楽しい会話で夕飯もあっという間に終わってしまいます。

 

 

食事の後は晩酌の時間。
菅沼さんのお友達が作った希少な日本酒や、差し入れで頂いたお酒を飲みながら農業話に花が咲きます。
「明日の朝は早いけど大丈夫かな?」菅沼さんの心配をよそに大人の夜が更けていきます――

 

ホームステイ2日目

 

 

ホームステイ2日目は昨日の雨が嘘のような快晴。
朝6時に起床し、眩しい日差しの中、2人は数か所ある菅沼さんの畑にトラックで向かいます。

 

 

現在、菅沼さんが畑で栽培する作物は、農協に納める野菜を中心に、ナスの無農薬栽培から、実験的に行っている小麦の栽培など多岐に渡り、「来年あたりは米をやりたいけど、一人では今が手一杯」「最初から手広くやるのではなく、地域のやり方を学び、少しずつ確実に広げた方が良い結果を生みやすい」と菅沼さんは話します。

 

市川さんは無農薬栽培の畑で菅沼さんからナスの取り頃、見分け方、取り方などを教わります。

 

 

市川さんはある程度を任され、朝日が眩しい畑の中で黙々と作業していると、次第に手際が良くなり、どんどんナスを収穫していきます。

 

菅沼さんはスマートフォンをスピーカーにして、お気に入りの音楽を聴きながら収穫。
時折、菅沼さんの歌声が静かな畑に響きます。

 

 

かご一杯にナスを収穫したので次の畑に向かう準備をする2人。
雑談交じりに役割分担をしながら、息の合った撤収作業が進みます。

 

 

荷物を全て積み込むと、早々に次の畑に移動します。

 

 

次の畑は一般的な農薬や肥料を使って栽培する畑で、先ほどと同じくナスの収穫を行います。
先ほどの無農薬の畑と違って、畑自体がとても整理されており、野菜も勢いよく伸びていて、輝きがあるように感じます。

 

「農薬の使用自体に良い印象を受けない人も多いと思うけど、農薬は野菜を健康に保ち、元気にする薬でもあります。風邪を引いたら薬を飲む人がいる。それと似ていて一概に悪いとは言い切れない。薬も色々な種類が出ているので昔とはずいぶん違うと思いますよ。」と菅沼さんは話してくれました。

 

 

2つの畑で大量のナスを収穫して朝の作業が終わりました。
家に帰ると早々に朝食の準備が始まります。
ここも市川さんが進んで準備します。

 

 

朝の仕事を終えてからのご飯はおいしい。
本当においしい。

 

朝のひと時はみんなの笑顔で溢れ、
日本らしい家族の食卓がそこにはある気がします。

 

市川さんの農業へのイメージが、たった少しの時間でどんどん固まっていく。
農家の暮らし方、家族の健康的な暮らしを体感して市川さんは生き生きとし始めています。

 

前半はここでおしまい。
さて次回は、収穫した野菜の出荷作業などを行う「家族で就農を考える。②」に続きます。