就農体験ホームステイ開催レポート「第二回①」
就農体験ホームステイとは、就農を考えている移住希望者が、甲府市内の農家さん宅にお世話になり、農家さんと親睦を深め、地域の繋がりを作ることで、甲府の就農をより具体的にイメージしてもらう体験ツアー。
参加者とホームステイ前に会い、就農や移住に対する思いを聞き、その思いを事前に農家さんに伝え、その上でホームステイを開催しました。
以下は1泊2日の就農体験ホームステイで記録係が撮影した写真をベースに、それぞれ思いの違う3組を追いかけた就農体験ホームステイ開催レポートです。
就農体験ホームステイ 第二回「単身で良地を探す。①」
二組目は茨城からお越しの村田さん(仮名)。現在、農業専門学校に通っています。
来年から本格的に農業を開始する前に、自分にあった土地を探すために今回のホームステイに参加されました。
村田さんは、ネギを作る予定なんだそうです。「なぜネギなんですか?」と質問すると「1年中収穫でき、あまり土地を選ばないので、初心者でも安定して始められるから」と答えました。とても誠実に農業を考えていらっしゃるんだなという印象を受けました。
今回、村田さんを受け入れるホームステイ先の農家さんは千野さんです。
昔から甲府で農業を営んでおり、またご先祖さまは代々学校の先生であることから、農家の育成に力を入れています。千野さんのもとから沢山の農家さんが生まれました。
第一回でご紹介した菅沼さんも千野さんから農業を教わった農家さんの一人で、未だに千野さんのお手伝いをしています。
誠実に農家になりたい村田さんと、誠実に農家を育ててきた千野さん。
少し言葉数が少ないお二人の、言葉が無くてもお互いが何かを感じる1泊2日のホームステイです。
ホームステイ1日目
柔和な千野さんと、笑顔がステキな奥さんに受け入れられてホームステイが始まります。
ネギを作りたいと村田さんが話すと、千野さんは甲府で昔ながらの栽培方法でネギを栽培する農家さんの記事を渡しました。それを食い入るように読む村田さん。
村田さんのネギに対する強い熱意を感じます。
自己紹介もそこそこに、早速二人で千野さんの畑へ。
丁度、かぼちゃの収穫の時期になっていました。
千野さんはかぼちゃの収穫方法から、甲府の農業、かぼちゃ以外の作物について、ゆっくり丁寧に話します。それを村田さんは表情を変えることなく真っすぐに聞きます。
穏やかな日差しの中、農業と向き合う2人の時間が流れていきます。
一度、千野さん宅に戻って、今度は収穫した作物の箱詰めする作業場を案内します。
この場所は第一回で菅沼さんと市川さんがナスを詰めた場所です。
次は、ナスの畑です。
千野さんの身長よりも高く伸びたナスの枝葉に濃い紫色をしたナスが沢山なっています。
農業専門学校に通う村田さんは、分からないことをどんどん千野さんに質問します。
そしてその質問に即答する千野さん。淀みなく会話が続きます。
千野さんの畑の紹介も済んだところで、ここから就農体験が始まります。
まずは、千野さんが収穫したかぼちゃにラベルを貼る作業です。
手順を聞くと村田さんはかぼちゃを手にして作業に入ります。
さすが農業校に在学中とあって、その手さばきは農家さんとあまり変わりません。
1つ1つ丁寧にラベルを貼っていきます。
村田さんの横では千野さんがかぼちゃを丁寧に拭いています。
「野菜はその年?最初の年から収入が上がるから」と、やさしい笑顔で話す千野さんは美しい野菜をたくさん作っています。
千野さんが育てたかぼちゃは本当にキレイで、見事に輝いていました。
作業が終わって家に帰ると、奥さんが豪華な食事を用意して待っていてくれました。
テーブル一杯に並んだ「お母さんの味」にご飯もお酒も進みます。
「一人でも甲府の農家になってくれたらうれしい」というお母さんは「一年甲府の農家で研修して、翌年畑が二反あれば独立できるよ」と話します。
時には真面目に、時には笑いもあり、ホームステイ1日目の夜がゆっくり進んでいきました。
言葉は少ないかもしれないけど、農業をやりたい気持ちは強いから、甲府の農家にホームステイした村田さん。
甲府のお父さんとお母さんに触れて、思いが強くなります――
次回は、収穫だけじゃない農家の剪定作業などに続く「単身で良地を探す。②」です。